新しいタイプの商標

商標(トレードマーク)とは、商品やサービスを象徴するマークやロゴなどを指します。

商標法が改正され、新しいタイプの商標が出願可能となりました。新しいタイプの商標は、①変化商標(①-1動き商標(商標法施行規則第4条)、①-2ホログラム商標(同規則第4条の2))(商標法5条2項1号)、②色彩のみからなる商標(商標法5条2項3号)、③音からなる商標(同項4号)、④位置商標(同項5号、商標法施行規則第4条の7)になります。

商標法2条1項は下記のとおり改正されました。

 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの

二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

このように、「商標」の定義に「音」が付け加えられました。これにより、「音」も特定の商品やサービスを象徴する商標として定義されることになりました。

また、商標法5条2項は下記のとおり改正(各号新設)されました。

 2  次に掲げる商標について商標登録を受けようとするときは、その旨を願書に記載しなければならない。
一  商標に係る文字、図形、記号、立体的形状又は色彩が変化するものであつて、その変化の前後にわたるその文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合からなる商標

二  立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる商標(前号に掲げるものを除く。)

三  色彩のみからなる商標(第一号に掲げるものを除く。)

四  音からなる商標

五  前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める商標

文字図形などの商標は以前から商標の定義に含まれていましたが、これが「変化する」商標も出願が可能になりました。いわゆる、変化商標(商標法5条2項1号)です。時間経過によって変化する商標は動き商標と、ホログラムなどで見る角度等で変化する商標はホログラム商標と、それぞれ分類されます。

また、色彩からなる商標(商標法5条2項3号)、音商標(同項4号)、位置商標(5号)も出願が可能となりました。位置商法(5号)について、経済産業省令の定めは下記のとおりです。

商標法施行規則第四条の七  商標法第五条第二項第五号 (同法第六十八条第一項 において準用する場合を含む。)の経済産業省令で定める商標は、位置商標とする。

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

関連記事一覧

弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

写真(齋藤先生)_edited.jpg

大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

お問い合わせ

    TOP