著作権は譲渡できますか?

著作権は譲渡することが出来ます。
著作権法61条は,「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる」と定めます。著作権の「一部」とは,支分権の一部と解すことができます。また,これに留まらず,内容や場所,期間の一部についてのみ,権利を譲渡することもできると考えられています。
例えば、ある映像を作成して,映像の頒布権のみを譲渡することなども可能です。
また,ある映像を一定の地域で頒布する権利だけを譲渡することも可能と考えられています。例えば,東京都である映像の著作物を頒布する権利だけを譲渡し,他の地域における頒布権は自己に留保することなども,可能と考えられています。
もっとも,内容などについて制限を加えて譲渡するのであれば,そもそも譲渡契約より利用許諾契約によった方が簡便といえるケースも多そうです。

著作権の二重譲渡

二重譲渡とは,同一の権利を複数の第三者に譲渡する意思表示が競合してしまった場合を言います。
では,著作権が2重に譲渡された場合、どのように優劣を決めるのでしょうか。この点、著作権法77条柱書は「次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。」と定め,同条1号は「著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)若しくは信託による変更又は処分の制限」と定めます。このように,著作権の二重譲渡の優劣は,登録によって決せられます。
著作権を譲渡する場合は,譲渡契約の内容をきちんと契約書にしておくことは勿論,権利の登録まで行うことが肝要となりそうです。

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

関連記事一覧

弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

写真(齋藤先生)_edited.jpg

大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

お問い合わせ

    TOP