図形について著作権法は、「六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」と定めています(著作権法10条1項6号)。このように、著作権法は図形の著作物を著作物の一つとして例示しています。
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図形の著作物に関する裁判例
平成 9年 4月25日東京地裁判決・判時 1605号136頁
平成 9年 4月25日東京地裁判決・判時 1605号136頁は、スモーキングスタンドの設計図について著作物性を否定しました。
本件設計図の著作物性
(一) 前掲甲第二号証ないし甲第二二号証及び弁論の全趣旨によれば、本件設計図のうち甲第二号証ないし甲第一八号証は、スモーキングスタンド、ダストボックス、レインスタンド、プラントボックスの平面図及び立面図(一部には内部のすり鉢状の中容器が記載された断面図になっている)を寸法付きで表現したものであり、「Iシリーズ」(甲第二号証ないし甲第九号証)は、平面図が円形、立面図がほぼ長方形であり、円筒状の基本的構成からなるスモーキングスタンド、ダストボックス、レインスタンド、プラントボックスを表現したものであること、「Rシリーズ」(甲第一〇号証ないし甲第二一号証)は、平面図が円形、立面図が長方形の上部の角を円弧状にした形状であり、上縁又は上縁及び下縁に丸みをつけた円筒状の基本的構成からなるスモーキングスタンド、ダストボッグス、プラントボックス、傘立てを表現したものであること、本件設計図のうち甲第一九号証ないし甲第二一号証は、「Rシリーズ」のうち下端R型のスモーキングスタンド及びダストボックスの詳細図、甲第二二号証は、「Vシリーズ」のダストボックスの詳細図で、いずれも実物大の立面図の一半を断面図とし、寸法、アールの大きさ、材質、ボルト止めをする位置等の記載がなされた図面であること、本件設計図の記載の仕方そのものは、通常の製図法によって表現したものであって、特別な表現方法によっているものではないことが認められる。
(二) 本件設計図は、前記認定のとおり、ダイチがスモーキングスタンド、ダストボックス等の工業的に量産される商品を生産するため、ダイチの依頼に応じて制作されたものであり、製造を行うダイチの工場又は下請業者が、設計者である原告及び発注者であるダイチの意図したとおりに商品を製造することができるよう、具体的な什器の構造、デザインを細部にわたって通常の製図法によって表現したものである。工業製品の設計図は、そのための基本的訓練を受けた者であれば、だれでも理解できる共通のルールに従って表現されているのが通常であり、その表現方法そのものに独創性を見出す余地はなく、本件設計図もそのような通常の設計図であり、その表現方法に独創性、創作性は認められない。本件設計図から読みとることのできる什器の具体的デザインは、本件設計図との関係でいえば表現の対象である思想又はアイデアであり、その具体的デザインを設計図として通常の方法で表そうとすると、本件設計図上に現に表現されている直線、曲線等からなる図形、補助線、寸法、数値、材質等の注記と大同小異のものにならざるを得ないのであって、本件設計図上に現に表現されている直線、曲線等からなる図形、補助線、寸法、数値、材質等の注記等は、表現の対象の思想である什器の具体的デザインと不可分のものである。本件設計図の右のような性質と、本件設計図に表現された什器の実物そのものは、デザイン思想を表現したものとはいえ、大量生産される実用品であって、著作物とはいえないことを考え合わせると、本件設計図を著作物と認めることはできない。
平成 9年 4月25日東京地裁判決・判時 1605号136頁
地図の著作物
地図について著作権法は、「六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」として著作物の一つとして例示しています(著作権法10条1項6号)。地図の著作物性は,記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法を総合して,判断されます。
図形に関する著作権問題は弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)まで
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