インターネットの法規制

インターネットに関する法規制は、現在、どのような状況なのでしょうか。

インターネットに関する法規制は、まず、インターネット特有の法規制と、一般的な法規制に分けて考えていくべきです。

インターネット特有の法規制は、インターネット固有の事象を中心に、法規制をしていくものです。それ自体が独立した名前を付された法律(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(電子消費者契約法),特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)など)や,一般的な法律にインターネットに対する法規制を中心課題として条文が設けられたもの(送信可能化権(著作権法23条1項),電子計算機不正指令業務妨害罪(刑法234条の2))などがあります。

これに対して、一般的な法規制は、民法や刑法など文字通り、国民生活を遍く規制する法規制です。インターネット上での行動に対して、他の日常生活と異なることなく適用されることで、インターネット上の行動も規制することになります。たとえば、名誉棄損による不法行為(民法709条)、刑罰の成立(刑法230条)は、特にインターネットを中心に設けられた法規制ではありませんが、インターネットを通じて実行した場合も適用されることで、インターネット上の行動も併せて規制しています。

このように、インターネットにおける法規制は、「インターネット特有の事象を中心課題として創設された法規制」と、「一般的な法規制がインターネットに及ぶ場合」に分けて考えるべきです。そして、インターネット特有の法規制が増えたとしても、やはり、数が多いのは、一般的な法規制です。

この点からも、インターネットにおける法規制を論じるとき、インターネット特有の法規制とともに、インターネットでの行動が規制の対象となる(なりやすい)一般的な法規制を調べることが重要と言えそうです。

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

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大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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