マリカー事件中間判決とキャラクターの不正競争防止法による保護

マリカー事件中間判決で、知財高裁でも不正競争防止法違反が肯定されました。

この、不正競争防止法違反とは何が権利侵害であり、何が違法であると述べられているのでしょうか。

まだ、中間判決の判決文は公開されていませんが、一審の判決文は公開されています。

一審において原告権利の客体のひとつとして主張されたのは、原告表現物マリオ,原告表現物ルイージ,原告表現物ヨッシー及び 原告表現物クッパです。各原告表現物は,いずれもゲーム 作品である「スーパーマリオブラザーズ」等に登場し,原告の周知かつ著名な商品等表示となっていると主張されています。

この原告表現物は絵画の著作物であるとされていますので、いわゆる2次元の状態のキャラクターイラストを指しています。

さらに原告は、「原告立体像」(「マリオ」シリーズのキャラクターである原告表現物を三次元のコスチュームに立体的に具体化したもの)も、原告の周知かつ著名な商品等表示に当たると主張しました。

この原告立体像は、2次元の絵画、イラストを3次元において捉えなおした概念と理解されます。このとき、被告の宣伝行為において問題となっている行為の類型にはコスチュームだけを着用した態様が含まれています。そこで、訴状別紙原告商品等表示目録にはコスチュームを着用して顔が黒塗りの人物の写真が掲載されているなど、必ずしも顔面部を要素としないコスチュームの立体化表現が、原告商品等表示として不正競争防止法の判断の基礎に据えられました。

原告はこの著名キャラクター(マリオ・ルイージ・ヨッシー・クッパ)のコスチュームを3次元に立体化したものを、原告の「商品等表示」=「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」(不正競争防止法2条1項1号)と主張したのです。

ここでは、抽象的なキャラクターを表象するイラストやフィギュアなどではなく、さらに、その特徴的なコスチュームが保護対象として主張され、さらに、その保護が認められ不正競争防止法違反が肯定されました。このようにキャラクターの保護を超え、キャラクターの特徴を反映したコスチュームにまで知的財産権法上の保護が及ぶ場合があることが示された点にマリカー事件の特殊性があると考えられます。

キャラクターの保護は弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)まで

弊所でもキャラクター保護法務を提供しています。弊所では、キャラクターの造形も創作経験があるなど、クリエイト経験をキャラクター保護法務に反映する点に特徴があります。キャラクターの保護、権利侵害などご相談があればお気軽にご相談ください。

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

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大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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