インスタグラムInstagram上の権利侵害(無断転載)に対する実際の発信者情報開示請求対応例

弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)では、まだそれ程開示請求が盛んではなかった2019年の段階でインスタグラムInstagramで発生した著作物の無断掲載に基づく著作権侵害に基づいて発信者情報開示仮処分を東京地方裁判所(知的財産権法専門部)に申し立て、仮処分命令の発令を受けるなどインスタグラムに対する発信者情報開示の対応例がございます。

また、同開示命令を受けて、米国フェイスブックインコーポレイティッドから、発信者情報の開示を受けることに成功いたしました。

この記事は、インスタグラムInstagramに対する発信者情報開示例はまだ多くなかったことから、情報を共有する目的で、依頼者の許可を経て掲載したものです。

事案はプロフィールに写真を無断利用したケースで、 資格証明書の取得、申立書の翻訳まで、すべて弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)が担当した案件となります。

なお、インスタグラムInstagramに対する削除及び発信者情報開示は現在、米国法人であるFacebook社に対して法的請求を行う運用となっています。

外国法人に対する訴訟や仮処分では、資格証明書の取得や翻訳などが必要になります。

仮処分命令発令までに要した時間

申立て(申立て書類を裁判所に提出した日)から仮処分命令発令(裁判所がプロバイダに対して発信者情報を開示するように命じた日)までに要した期間はおよそ2カ月となります。

例えば、4月1日に裁判所に書類を提出した場合、5月末に裁判所が命令を発令した、というイメージになります。ただし、発令までに要する期間は事案によって前後しますので、ご注意ください。

Facebook社から仮処分で開示されるのは現在、IPアドレスやタイムスタンプですので、さらにISP(インターネットサービスプロバイダ)に対する開示請求が必要になります。任意開示で済むか、法的な請求をさらに行う必要があるかは、プロバイダや事案によって様々です。

インスタグラムInstagramは現在、米国フェイスブック社を相手方として開示請求を行うことになります。

知的財産権事件は仮処分を含めて東京地方裁判所知的財産権法専門部が担当します。知的財産権法専門部において、相手方が米国法人であることから、申立から初回審尋期日まで、約1カ月超の期間を裁判所で確保しての期日指定となりました。つまり、裁判所に書類を提出した日から、1ヶ月以上を置いて、双方審尋期日を設定することになりました。例えば、4月1日に申立書類を裁判所に提出した場合、5月上旬に期日が指定された、というイメージになります。

この点、国内プロバイダに比較するとどうしても時間が必要になります。

また、初回審尋期日から、審理期間を経て、約20日程度で仮処分命令発令となっています。

さらに、仮処分命令発令から実際の開示まで、一定の期間が必要になる場合があります。

なお、資格証明書を弊所で取得する場合、依頼を受けてからカリフォルニア州務長官オフィスから資格証明書を取り寄せるため、さらに仮処分申し立てまで1カ月程度時間が必要になりますので、この点もご承知おきください。

類似事案のご相談について

弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)では、著作権、知的財産権、ウェブデジタル争訟、コンテンツ紛争などの事案処理を重視ていることから、SNS上での知的財産権侵害にも積極的に対応しています。

インスタグラムInstagramに限らず国外SNSプロバイダについて、もし類似の事例でお困りの際は、まずはお問い合わせください。

弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)について

インスタグラムInstagramは優れたSNSですが、心無いユーザーの著作権侵害が発生する可能性があります。反面、法的手続きの相手方が海外企業であるため、コストや労力の問題から、どの程度の対応をとるのか慎重に検討する必要がありますので、発信者の特定や画像の削除など法的対応や総合的な対応についてもし相談が必要であれば、著作権侵害や知的財産権法、コンテンツ紛争、インターネット争訟を重点分野とし、対応実績もある弊所へのお問い合わせもご検討ください。

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    弁護士齋藤理央

    東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
    【経 歴】

    写真(齋藤先生)_edited.jpg

    大阪府豊中市出身

    早稲田大学教育学部卒業

    大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

    2010年    東京弁護士会登録(第63期)

    2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

    2021年    弁理士実務修習修了

    2022年    今井関口法律事務所参画

    【著 作】

    『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

    『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

    『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

    『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

    『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

    『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

    『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

    【セミナー・研修等】

    『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

    『リツイート事件最高裁判決について』

    『BL同人誌事件判決』

    『インターネットと著作権』

    『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

    『著作権と表現の自由について』

    【主な取扱分野】

    ◆著作権法・著作権訴訟

    ◆インターネット法

    ◆知的財産権法

    ◆損害賠償

    ◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

    【主な担当事件】

    『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

    『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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