さくらインターネットに対する発信者情報開示・送信防止措置(削除)の代理請求業務について

さくらインターネットに対する発信者情報開示や削除請求はどのような場面で問題になりますか?

さくらインターネットは、国内主要レンタルサーバー事業者の一社です。

名誉毀損・誹謗中傷・著作権など知的財産権侵害など権利侵害が発生しているサイトの管理者事業者がさくらインターネットの場合、つまりさくらインターネットが問題となっているサイトのサーバーをレンタルしている場合、同社に対する発信者情報開示請求によりサイト運営者などの発信者情報を開示請求することになります。また、送信防止措置を同社に請求できることになります。

さくらインターネットの所在地と発信者情報開示請求訴訟の管轄

さくらインターネットは、大阪府大阪市に本社が所在します。したがって、発信者情報開示請求の基本的な管轄は、大阪地方裁判所となります。

管轄合意によって東京地方裁判所に提訴できないでしょうか。

ただし、さくらインターネットは発信者情報開示請求の法的対応を、東京の弁護士に依頼するため、東京地方裁判所での法的手続きについて、管轄合意などに応じる場合があります。

そこで、訴訟の提訴に先立ち、管轄合意書を取り交わすことも検討できます。さくらインターネット側で東京地方裁判所での提訴に管轄合意した場合、東京地方裁判所に提訴することができます。

弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)ではさくらインターネットに対する発信者情報開示実績がありますか?

弊所では、さくらインターネットに対する発信者情報開示請求訴訟など、発信者情報開示の対応実績があります。

さくらインターネットに対する発信者情報開示や削除請求についてはお気軽にお問い合わせください。

    その他の国内レンタルサーバー事業者に対する発信者情報開示について記載された記事はありますか?

    その他国内レンタルサーバーに対する発信者情報開示請求については、下記に詳述しています。

    弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)が担当した「さくらインターネット」に対する発信者情報開示請求裁判例が裁判所ウェブサイトに掲載されているのですか?

    弊所が担当したさくらインターネットを被告とする発信者情報開示請求訴訟の判決文が裁判所のウェブサイトに掲載されています。

    当裁判例は裁判所ウェブサイトで公開中の事例であることから弊所ウェブサイトにも掲載しています。

    令和2年3月25日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 令和元年(ワ)第29280号 発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日 令和2年2月12日 判 決

    原 告 X 同訴訟代理人弁護士 齋 藤 理 央

    被 告 さくらインターネット株式会社 同訴訟代理人弁護士 B

    主 文

    1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。

    2 訴訟費用は被告の負担とする。

    事 実 及 び 理 由

    第1 請求

    主文同旨

    第2 事案の概要

    1 本件は,別紙写真目録記載の各写真の著作権を有する原告が,氏名不詳者ら が無断でインターネット上のウェブサイトに上記各写真をアップロードした ことにより,原告の著作権(複製権,公衆送信権及び送信可能化権)が侵害さ れたことが明らかであると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任 の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」と いう。)4条1項に基づき,上記ウェブサイトが蔵置されたサーバを管理・支 配する被告に対し,上記著作権侵害行為に係る別紙発信者情報目録記載の各情 報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。

    2 請求原因

    (1) 被告 被告は,インターネットへの接続サービスの提供等の事業を営む株式会社 である。

    (2) 写真の著作物性及び著作権者 別紙写真目録記載の各写真(以下,符号に従い「本件写真1」などといい, 併せて「本件各写真」という。)はいずれも写真の著作物であり,原告は, 本件各写真について著作者として著作権を有する。

    (3) 氏名不詳者の行為 ア 氏名不詳者1(以下「本件発信者1」という。)は,別紙開示請求サイ ト目録記載のサイト1における,別紙投稿情報目録第1記載の11個の画 像URLに,本件写真1をぼかして背景写真とし,3段組で「A」,「A’」, 「おすすめの交際クラブ」などの文字を配した11個の各画像データ(ほ かに「B」,「C」などの地名及びそのアルファベット表記が記載されて いる。)をアップロードした。 イ 氏名不詳者2(以下「本件発信者2」という。)は,別紙開示請求サイ ト目録記載のサイト2における,別紙投稿情報目録第2記載の画像URL に,本件写真2をアップロードした。 ウ 氏名不詳者3(以下「本件発信者3」といい,本件発信者1及び2と併 せて「本件各発信者」という。)は,別紙開示請求サイト目録記載のサイ ト3における,別紙投稿情報目録第3記載の画像URLに,本件写真3を アップロードした。

    (4) 開示関係役務提供者 被告が管理・支配するサーバの領域に,別紙開示請求サイト目録記載のサ イト1,サイト2及びサイト3を蔵置されているから,被告は,プロバイダ 責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に該当する。

    (5) 権利侵害の明白性 本件各発信者による前記(3)の各行為により,原告の本件各写真に係る複製 権,公衆送信権及び送信可能化権が侵害され,違法性阻却事由の存在をうか がわせるような事情も存在しないから,原告の権利が侵害されたことが明ら かである。

    (6) 開示を受けるべき正当な理由 原告は,本件各発信者に対する損害賠償請求のため,被告に対し,本件発 信者情報の開示を求めるものであるから,開示を受けるべき正当な理由があ る。

    (7) 本件発信者情報の保有 被告は,本件各発信者に係る本件発信者情報を保有している。

    (8) よって,原告は,被告に対し,プロバイダ責任制限法4条1項に基づき, 本件発信者情報の開示を求める。

    3 被告の認否

    (1) 請求原因(1),同(4)のうち,被告が,本件各写真がアップロードされたサ ーバの管理者権限を有していること及び同(7)は認め,その余は争う。

    (2) 請求原因(3)について,本件各写真が原告に無断でアップロードされたこ とは不知。なお,令和元年12月6日の時点において,本件サイト1及び本 件サイト3に請求原因(3)ア,ウの各画像は掲載されていない。

    (3) 請求原因(2)は不知。同(5)及び(6)は否認又は争う。

    第3 当裁判所の判断

    1 証拠(甲1~3)によれば,本件各写真は,写真の著作物と認められ,本件 写真1の右下に「NIGHT VIEW PHOTOGRAPHER XⒸ」, 本件写真2及び3の右下に「Copyright(c) Night View Photographer X」と記 載された著作権表示がされ,原告の氏名又は姓と名のイニシャルにおいて一致 しているから,原告が本件各写真の著作者であり,その著作権を有する者と認 められる。 したがって,請求原因(2)は認められる。

    2 証拠(甲1,4~14,17)によれば,請求原因(3)アが認められ,同ア記 載の各画像は,被写体や撮影方向等が本件写真1と同じであるから,本件写真 1を複製した上でこれをぼかすなどの加工を加えたものと認められる。 また,証拠(甲2,15,19)によれば,請求原因(3)イを,証拠(甲3, 16,20)によれば,請求原因(3)ウを,それぞれ認めることができる。 そうすると,本件各発信者は,本件各写真の画像ファイルを複製した上,別 紙開示請求サイト目録記載の各サイトにアップロードして,上記画像ファイル を公衆送信及び送信可能化したものと認められ,上記各行為について,違法性 阻却事由の存在はうかがわれないから,原告は,本件各発信者に対し,著作権 (複製権,公衆送信権及び送信可能化権)侵害を理由とする損害賠償請求権を 有する。 そして,原告が本件各発信者に対してその権利を行使するためには,本件発 信者情報の開示が必要である。 したがって,請求原因(5)及び(6)が認められる。

    3 被告が,本件各写真がアップロードされたサーバの管理者権限を有している ことに争いはないから,被告は,本件各発信者による本件各投稿に係る通信を 媒介したものと認められ,開示関係役務提供者に該当する。そして,被告が本 件発信者情報を保有していることは争いがない。

    4 結論

    よって,本訴請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のとお り判決する。 東京地方裁判所民事第40部

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    弁護士齋藤理央

    東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
    【経 歴】

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    大阪府豊中市出身

    早稲田大学教育学部卒業

    大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

    2010年    東京弁護士会登録(第63期)

    2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

    2021年    弁理士実務修習修了

    2022年    今井関口法律事務所参画

    【著 作】

    『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

    『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

    『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

    『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

    『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

    『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

    『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

    【セミナー・研修等】

    『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

    『リツイート事件最高裁判決について』

    『BL同人誌事件判決』

    『インターネットと著作権』

    『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

    『著作権と表現の自由について』

    【主な取扱分野】

    ◆著作権法・著作権訴訟

    ◆インターネット法

    ◆知的財産権法

    ◆損害賠償

    ◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

    【主な担当事件】

    『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

    『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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