著作権法18条前段は「著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する」と定め、同後段は、「当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする」と定めます。
公表権侵害の慰謝料
平成30年12月11日東京地裁判決判時 2426号57頁 (平29(ワ)27374号 損害賠償請求事件 )は、下記のとおり判示して、公表権侵害に対して100万円の慰謝料を認めています。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/232/088232_hanrei.pdf
前記2(1)及び3(3)で認定した各事実並びに証拠(甲7)及び弁論の全趣旨 によれば,本件楽曲は平成32年(2020年)に開催される東京オリンピ ックのテーマ曲として応募することを目的として創作されたものであり,原 告としては,本件楽曲を聴いた感想を聞くために,被告Bに対して本件録音 データを提供したにすぎなかったにもかかわらず,本件番組(日本テレビ系 列28社により放送されている。)において本件楽曲が放送されたことによ り,原告は本件楽曲を創作した目的に即した時期に本件楽曲を公表する機会 を失ったこと,しかも,本件楽曲は,本件番組において,警視庁が原告に対する覚せい剤使用の疑いで逮捕状を請求する予定であるという報道に関連す る一つの事情として紹介されたことにより,本件番組の司会者及び被告Bの 発言と相まって,本件番組の視聴者に対して原告が本件楽曲を創作した目的 とは相容れない印象を与えることとなったことが認められる。 なお,原告は,本件番組において,原告が覚せい剤の使用により精神的に 異常を来したかのような報道をされたことにより,原告の音楽家としてのイ メージを毀損され,精神的苦痛を受けた旨主張し,その陳述書(甲7)には これに沿う陳述部分があるが,本件における慰謝料請求は飽くまで本件楽曲 に係る公表権侵害を理由とするものであるから,上記認定のとおり,公表権 侵害の方法・態様として評価し得る事情の限度で考慮するにとどめるのが相 当である。 これらの事情に加え,本件で顕れた一切の事情を併せ考慮すると,被告ら による公表権侵害に対する慰謝料の額は100万円と認めるのが相当である。 |
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