二次的著作物とは

著作権法2条1項11号は,二次的著作物について、「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。」と定めています。

つまり、2次的著作物は端的にいうと「翻案したことにより創作した著作物」なんですね。

たんてきに言ってくれてありがとう!

でも、ほんあん、ってなに??

そう!そうだよね。
「翻案」がなにかがわからないと、答えが出ないよね。ポイントだね。

いい目の付け所!


翻案とは

著作権法上の翻案とは、一体なにを意味するのでしょうか。最高裁判所の判示を見てみましょう。

最高裁判所は,翻案(著作権法27条)とは、「既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。」と判示しています(最高裁判所判例平成13年 6月28日(江差追分事件(ブダペスト悲歌事件))上告審)。

つまり、翻案は、既存の表現の本質的な特徴を直接感じられる別の表現物を創る行為、といいうことになります。


既存の著作物でありながら、別の著作物でもある。。。

うーん。難しいよー

ちょっと、あいしーは難しがったらダメ。
難しいっていうのは私の役目なんだから!


二次的著作物においては,原著作物の「表現形式における本質的な特徴を直接感得することができる」(最高裁判例昭和55年3月28日モンタージュ写真事件)必要があります。

つ、つまり?

すなわち,二次的著作物とはある著作物を翻訳するなど,著作物に依拠しながらその本質的特徴を残して改変した著作物を言います。

あ!人間の言葉を妖精の言葉にするってことだね!

え?ちょっと妖精の言葉話してみて!

りーん。りーん。りんりんりーん。

うーーーん。。。

言葉の意味はわからないけど素敵な音色だね!

二次的著作物に対して,改変された著作物を「原著作物」と言います。例えば,日本語で書かれた文章と,その英訳や,オリジナルの曲と,そのアレンジ曲などが,原著作物と二次的著作物の関係になります。

反対にいえば,原著作物の本質的特徴が感得できないのであれば,もはや,二次的著作物ではなくオリジナルの著作物となり得ます。

りんりんりーん。りんりんりん。

もう、なんて言っているかわからないよ。

あ!これが本質的特徴が感得できない場合?

それはあいしーが妖精の言葉分からないだけでしょ!

そ、そっか。

違法に翻案された場合

仮に原著作物の権利者の許諾を得ないなど,著作権法上の権利を侵害する態様で表現された著作物も,原著作物の本質的特徴を感得できれば,二次的著作物となり得ます。

違法な翻案で創作された2次著作物も法的に保護されるんだね。。

ちょっと不服そう・・・

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

写真(齋藤先生)_edited.jpg

大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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