データベースの著作物とは

著作権法は,データベースを「論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう」と規定しています(著作権法2条1項10の3号)。典型例としては,体系的に情報が整理された一定の規模のウェブサイトなどは,データベースたり得ます。
次に,著作権法第12条の2第1項は「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する」と定めています。非常に大規模なウェブサイトなどでも,情報の収集が網羅的であり,情報の整理が機械的(あいうえお順で検索できるようにしてあるだけなど)な場合は,データベースたり得ても,データベースの著作物たり得ない場合もあります。
このように,データベースの著作物は,選択に個性の反映がある情報の集合物であり,情報を,電子計算機を用いて検索できるように構成したときその構成にも個性が反映しているような情報の集合物をいいます。たとえば,職業を1800項目に分類して,職業と電話番号を検索できるようにしたウェブサイトで,職業分類体系が既存の職業分類とは異なる独自の研究に基づく分類体系である場合などは,データベースの著作物に該当することになります。これに対して,職業を機械的・網羅的に選択したもので、分類体系も日本標準産業分類など既存の分類体系にしたがっている場合などは、データベースには該当しても,著作物性を否定される可能性があることになります。

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

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大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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