著作権侵害差止請求訴訟の要件

著作権侵害が認められる場合、これを差し止める請求が可能です(著作権法112条)。侵害者が任意で差し止めに応じない場合、訴訟上差し止めを請求し、法的に強制的に差し止めるのが著作権侵害に基づく差止請求訴訟です。

PR 弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)は、複数件の著作権侵害訴訟の対応実績がございます。もし著作権侵害でお困りの際は、弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)までお気軽にご相談ください。

    著作権等の侵害差止請求訴訟の要件はどの様なものですか?

    著作権法112条1項は,「著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」と定めます。

    このように,「著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者」がその「著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権」を侵害されたとき(或いは侵害されるおそれがあるとき)に,「侵害する者」を被告として,差止請求訴訟を提起することができることになります。

    おおまかに分類すると,①請求者が著作権を有し,②被請求者が著作権を侵害していることが,著作権侵害差止訴訟の要件であることになります。そして①請求者が著作権を有しているというためには,㋐対象が著作物であること㋑著作権を取得する原因となる事実があることが必要であるということになってきます。

    どの様な場合に著作権が侵害されていると言えますか?

    著作権者とは,著作権を有する者を指していると解されます。そして,著作権とは,「第二一条から第二八条までに規定する権利」を指します(著作権法一七条一項)。

    著作権はそれぞれ専有されていますので,許可・同意なく第二一条から第二八条に規程されている権利として保障されている内容の行為を著作権者でないものが行うことが,侵害の典型となります。また,同一著作物について,法定の権利内容の行為を行ったとしても,原著作物に依拠していないときは侵害になりません(最判S53.9.7)。

    著作権侵害に基づく差止を請求できる著作権者の範囲を教えてください

    まず,請求の主体たる原告が著作権(第二一条から第二八条までに規定する権利のどれか(一つでも複数でも,すべてでも))を有していることが必要になります。

    著作権者とは,第二一条から第二八条までに規定する権利のどれか(一つでも複数でも,すべてでも)を有する者を指すと解されます。

    侵害されている客体については条件はあるでしょうか

    第二一条から第二八条の規定はすべて,著作物を対象とした権利として規定されています。したがって,著作権を有しているというためにはそもそも,対象が「著作物」といえなければなりません。

    請求を受ける側の範囲に限定はあるでしょうか?

    そのうえで,さらに,請求の相手方が,当該著作物を侵害していなければなりません。

    この被請求主体については様々な議論があるところです。

    例えばどの様な議論がありますか?

    例えば、コンテンツ・プロバイダに差し止め請求ができるかという問題があります。この問題は、幇助者に差し止め請求をできるのかどうかという問題や、コンテンツ・プロバイダに侵害主体性を認めることが可能かどうか、という問題など著作権の侵害主体性に関する複数の議論が問題になります。

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    弁護士齋藤理央

    東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
    【経 歴】

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    大阪府豊中市出身

    早稲田大学教育学部卒業

    大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

    2010年    東京弁護士会登録(第63期)

    2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

    2021年    弁理士実務修習修了

    2022年    今井関口法律事務所参画

    【著 作】

    『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

    『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

    『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

    『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

    『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

    『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

    『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

    【セミナー・研修等】

    『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

    『リツイート事件最高裁判決について』

    『BL同人誌事件判決』

    『インターネットと著作権』

    『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

    『著作権と表現の自由について』

    【主な取扱分野】

    ◆著作権法・著作権訴訟

    ◆インターネット法

    ◆知的財産権法

    ◆損害賠償

    ◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

    【主な担当事件】

    『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

    『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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