法律上の博物館の意義

博物館の意義

博物館は、日本の法制上、博物館法において取り決めがあります。

「博物館」は、博物館法2条1項に規定があり、2条1項に定められた目的を達成するための博物館資料を有し、同目的のために学芸員等の必要な職員を有しているなど、一定の要件を満たしているか審査(博物館法12条)を受けたうえで、登録を受けたものを言います。法律上の博物館と認められれば、公立博物館、私立博物館の分類に応じて、法律上補助金の交付(博物館法24条)、必要な物資の確保に対する援助(博物館法28条)などを受け得ることになります。

もっとも、上記はあくまで、法律上の博物館該当性の問題であり、上記法律上の登録を受けていない博物館(いわゆる博物館類似施設)も、多く存在します。博物館類似施設該当性については、博物館法上の要件を満たさないうえ、法的に博物館類似施設であることについて定めた要件はなく、実質的に博物館に類似すると評価するに相当する施設かどうか、社会通念に従って決せられることになるものと思料されます。いずれにせよ、博物館法においては法律上の博物館でなければ、博物館として活動してはいけないという規定は置いていませんので、学芸員がいなくとも、あるいは、必要な資料や土地建物を確保できていなくとも、実質的には博物館を運営できるということになります。ただし、博物館法上の要件を満たさない博物館類似施設において、博物館としての実態が伴うケースと、伴わないケースがあることになりそうです。何らの規定がない以上、それはやむをえないことと言えるのではないでしょうか。

また、博物館法は博物館に準じる施設として、「博物館に相当する施設」という概念を置いています(博物館法29条)。博物館法上の博物館に該当しない施設であっても、教育委員会の指定を受ければ、教育委員会から専門的指導及び助言を受ける等一定の有利な取り扱いを受けることが出来ます(博物館法27条2項)。

ここでいう博物館法務は、博物館法の博物館及び博物館相当施設に限られず、博物館類似施設も含んだ広く博物館業務、博物館類似の業務を運営する個人、法人を対象としています。

また、一般的な博物館の語義には含まれない美術館や、動物園、水族館、植物園なども、ここでは博物館に含めています※。

博物館、美術館、動物園、水族館、植物園など、広義の博物館を運営している事業主の法律相談、紛争解決を承っています。

※なお、博物館法第二条1項にいう博物館は、「歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ。)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関(社会教育法による公民館及び図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)による図書館を除く。)のうち、地方公共団体、一般社団法人若しくは一般財団法人、宗教法人又は政令で定めるその他の法人(独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。第二十九条において同じ。)を除く。)が設置するもので次章の規定による登録を受けたものをいう」とされています。

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

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大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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