行政・公法

不作為の違法確認訴訟

①不作為の違法確認:行政庁が、申請に対して何らかの応答をしない場合、応答をしない不作為について、違法を確認する訴訟形態が、不作為の違法確認訴訟です(行政事件訴訟法3条5項)。もっとも敗訴した行政庁には、何らかの応答義務が生じるのみにとどまり、義務付け訴訟の方が、直接的な手段ということができます。なお、不作為型の、申請に対する義務付け訴訟においては、不作為の違法確認訴訟を併合提起する必要があります。不作為が継続する限り、出訴期間の制限はありません。
②訴えの利益:原告には、違法を確認する訴えの利益が必要であり、出訴後、処分がされたときは、訴えの利益が消滅し、訴訟は却下されることになります。
③原告適格:原告は、(法令に従って)申請をした者に限られます(37条)。したがって、違法確認は、法令に基づく申請権が前提とされます。もっとも、明文に基づく必要はなく、解釈上申請権が認められれば足ります。行政内部の法規たる内規、要綱に基づく申請も、行政庁として応答することが一般法理上義務付けられるときは、申請として認められることになります。
注1)なお、申請が法令に基づくことは、原告適格を基礎付ける訴訟要件であると考えられます。
④相当の期間:違法性は、相当期間の経過により基礎付けられる。相当期間は、通常応対するのに要すべき時間を基準に判断されます。これを超過している場合、特段の事情のない限り、違法とされます。行政手続法6条により、標準処理機関が設定されている場合、その経過が重要な考慮要素とされます。

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

関連記事一覧

弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

写真(齋藤先生)_edited.jpg

大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

お問い合わせ

    TOP