「大阪公立大学」の英語名称として予定されている「University of Osaka」を巡り大学名称についての紛争が生じていました。
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今回の紛争はどの様なものでしょうか?
大阪大学の英語表記「OSAKA UNIVERSITY」と、大阪公立大学が英語表記として発表した「University of Osaka」が混同を生じるとして大阪大学側が問題視しました。
そもそも名称も法律により保護されるのでしょうか
大学名称や、略称も商標登録すれば、商標法によって保護されます。また、著名な名称等は不正競争防止法で保護される場合があります。
大阪大学の英語表記「OSAKA UNIVERSITY」は商標登録されているのでしょうか
例えば、問題となっている「OSAKA UNIVERSITY」について、大阪大学は、商標を保有しています。指定役務として、例えば、41類で、「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,電子出版物の提供,図書の貸与,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,学術的資料の展示施設の提供」などが指定されています。類似群コードは、「41A01」「 41A03」「 41C02」「 41D01」「 41K02」となっています。
「University of Osaka」は商標登録されていますか?
これに対して、「University of Osaka」も令和2年6月18日付けで、商標登録に向けて出願がされています。 商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務は、9類「電子出版物」( 類似群コード「26A01」「 26D01」)、 16類「印刷物,文房具類」(類似群コード「25B01」「 26A01」)及、41類 「技芸・スポーツ又は知識の教授」,「セミナーの企画・運営又は開催」,「植物の供覧」,「動物の供覧」,「電子出版物の提供」,「図書及び記録の供覧」,「書籍の制作」,「映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」,「通訳」,「翻訳」(類似群コード「 41A01」「 41A03」「 41C01」「 41C02」「 41D01」「 41K02」「 42S01」です。
このように指定役務について同一性、類似性が肯定されることは避けられないため、商標の類似性が問題となりそうです。
大阪大学の英語大学名称「OSAKA UNIVERSITY」を巡る声明
大阪大学が大阪府立大学と大阪市立大学を統合する大学名「大阪公立大学」の英語名称として予定されている「University of Osaka」が、大阪大学の英語名「OSAKA UNIVERSITY」に酷似しているとして声明を発表していますが、このように、「OSAKA UNIVERSITY」は、登録商標であるため、商標の類似性や、指定役務の同一性、類似性が争われるという法律的なフレームに乗りやすく、商標権侵害として警告、協議、交渉となる可能性が高いものと考えられます。
他に大学名称を巡る紛争は生じていますか?
下記リンクでご紹介しているように無事に平和的解決となりましたが京都芸術大学と京都市立芸術大学の間で、大学名称を巡る紛争が生じ大きく報道されていました。
この紛争はどの様に決着しましたか?
「大阪公立大学」側が、英語名称「Osaka Metropolitan University」を使用することを公表しました。
また、大阪大学側も、「The University of Osaka」を商標出願しています。
このように、「Osaka University」および「The University of Osaka」を大阪大学が使用し、大阪公立大学は、「Osaka Metropolitan University」を使用することを使用することで決着しました。
大学名を巡る争訟が示唆する点はどの様な点でしょうか?
商標登録の有無が紛争の解決を有利に導く場合があるとの示唆を得られます。
大学名をめぐって複数の紛争が生じています。大学名も名称、標識であり法的には商標法や、不正競争防止法上の知的財産権侵害とならないかが争われます。
紛争前から商標登録のある名称、紛争登録前に商標登録をしていなかった名称と商標法の保護が分かれています。また、京都市立芸術大学は、紛争後に商標登録を得ています。このように紛争後に商標登録を得た名称もあり、主体や時間の経過により名称の保護状況が様々です。
この点から、名称を巡る不正競争防止法による保護と、商標法による保護や商標権の取得時期による紛争に与える影響の対比をしやすい事案だと考えられます。
商標登録及びその時期は、紛争の経過や帰結を異ならせるのかなど注視すべき所が多い案件と考えられます。
本紛争は大阪大学側が英語名称についても紛争前から商標登録していたことが解決を有利にしたとも評価できます。
弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)では商標業務を扱っていますか?
弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)では、このように紛争の際に鍵となることもある商標に関するご相談やご依頼を受け付けておりますのでお気軽にご相談、お問い合わせください。
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