Twitter/ツイッターに対する発信者情報開示請求

弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)は、ツイッターに対する発信者情報開示請求、特にツイッター/Twitter上の無断転載問題については最高裁判所判例をはじめとする複数の裁判例を獲得しているなど、幅広く対応実績を有します。

Twitter/ツイッター上の匿名アカウントによる誹謗中傷、なりすまし、信用棄損、業務妨害、コンテンツ侵害などの権利侵害についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。

ここでは特にツイッター上の匿名アカウントに対する発信者情報開示についてQ & A 方式でよくあるご質問にお答えしています。

Contents

ツイッターインクに対する発信者情報開示によって発信者を特定するまでに要する費用の概算を教えてください

 ツイッター社及びアクセスプロバイダを相手方とする発信者情報開示命令等の非訟手続による場合(アカウント1〜2つ)33万円〜(税込)
 ツイッター社を相手方とする発信者情報開示請求訴訟による場合(アカウント1〜2つ)40万円程度(税別、概算)
 ツイッター社を相手方とする発信者情報開示仮処分及びアクセスプロバイダに対する訴訟による場合(アカウント1〜2つ)40万円程度(税別、概算)
ツイッター社に対する発信者情報開示請求費用の概要

ツイッターインクに対する発信者情報開示について開示命令は220,000円から、本案訴訟は275,000円から、ともに税込で承っております。

翻訳費用、資格証明書の取得を併せて以上の料金となっています。ただし、アクセスプロバイダが外国法人など状況によっては資格証明を別途弊所以外に依頼したり、申立書や訴状の内容によっては別途英訳業者に翻訳料の費用負担をして頂く必要がある場合もございます。詳しくはお問い合わせください。

ツイッターインクに対する発信者情報開示にかかる期間を教えてください

結果が出るまでに仮処分は通常2−3ヶ月、本案訴訟は通常最低でも半年から1年程度の期間が必要となります。

発信者情報開示命令という新しい制度によれば特定はどのくらいの期間で可能でしょうか

令和4年10月1日から改正プロバイダ責任制限法が施行されました。この改正により発信者情報開示命令という非訟事件としておこわれる手続が運用開始となりました。

この制度によって、発信者の特定までに要する期間は短縮される見込みです。詳しい特定に要する期間が明らかになってきましたらウェブサイトでもさらに詳細な情報をご紹介する予定です。

ツイッターに対する発信者情報開示について発信者情報開示命令、仮処分及び本案訴訟どれが有効でしょうか

これまで、ツイッターに対する発信者情報開示はIPアドレス及びタイムスタンプの開示を得るための仮処分が中心でした。しかしながら、プロバイダ責任制限法が改正され、ツイッターが保有している携帯電話番号の開示が認められることになりました。このことから、仮処分よりも本案訴訟を提起した方がスムーズなケースが出てきました。

ツイッターに対する発信者情報開示については、現在、携帯電話番号の開示が可能となったことから、仮処分と本案訴訟の選択などの戦略的な行動選択が求められます。

しかしながら、仮処分の迅速性や電話番号の保有の有無も仮処分をとおして確かめられることを踏まえると現状、特殊な事案でない限り仮処分を優先すべきと考えられます。電話番号が開示されること、Twitterアカウントに電話番号が登録されているケースが増えてきていることを踏まえても、電話番号などの開示を求める本案訴訟はあくまでセカンドチョイスという印象です。

発信者情報開示命令を加えると選択すべき手段は変わってくるのでしょうか

発信者情報開示命令により、本案訴訟によらずに発信者のメールアドレス、電話番号の開示を得られるようになりました。現在(令和4年10月末時点)Twitter社は、提供命令に従わないという情報もありますが、それでも電話番号とメールアドレスが開示される可能性が高い点で、発信者情報開示命令申立がファーストチョイスになるものと思料されます。この点も運用が進み状況が明らかになりましたら詳細をウェブサイトに掲載の予定です。

ツイッター/Twitterに対する発信者情報開示は専門家に相談した方がいいのでしょうか

Twitter/ツイッターに対する発信者情報開示は、複数の制度について組み合わせて申立を行う関係上、専門家でなければ対応は困難な場合があります。

また、アクセスログについては時間制限がシビアです。まずは、特定可能性を含めて専門家にお早めにご相談頂くことをお薦めします。弊所では、複数の対応実績がありますので、Twitter/ツイッターでの権利侵害にお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

リツイートやいいね!に対しても開示請求をして責任を問えるのでしょうか?

ツイッター上で権利を侵害するツイートのリツイートやいいね!に対する法的責任追求が可能な場合があります。リツイートやいいねに対する責任追求について複数の裁判例があるほか、リツイートについては固有のURLを調査するなど特殊な対応が必要になる場合もあります。詳しくはリンク先をご参照ください。

ツイッターに対する発信者開示の特徴

SNSに疎いのですが、そもそもTwitter/ツイッターとはどのようなSNSですか?

Twitter/ツイッターは、国内でも1、2を争う利用者数を擁する短文投稿型のSNSです。

当初ミニブログという位置づけでしたが、徐々にバイラルメディア(情報拡散メディア)としての地位を確立していきました。

ミニブログとしてそれ自体コンテンツとなりながら、他メディア(ウェブサイト、ウェブログ、Youtubeなど動画投稿サイトなど)の拡散を担う機能も発揮し、2020年現在、四千万人を超える国内ユーザーがいるとも言われ、国内で非常に広く利用されているSNSとなっています。

Twitter/ツイッター上では、誹謗中傷・名誉棄損やなりすまし、肖像権侵害、著作権侵害など様々なインターネット上の権利侵害が発生しています。

しかしながら、現在Twitter/ツイッターは任意の情報削除や発信者情報開示には応じておらず、アカウント管理者を特定するためには基本的に法的手続きを介した発信者情報開示請求が必要となります。

ツイッター/TwitterというSNSと権利侵害の関係について教えてください

Twitter/ツイッターは日本に4000万人を超えるユーザーがいると言われている、日本有数の利用者数を誇るSNSのです。

企業などの営業活動、プロモーション活動や個人間の交流などでも重要な位置づけを与えらえることも少なくありません。

しかし、無断転載、誹謗中傷、なりすましや犯罪勧誘などにも利用されており、正の側面だけではありません。

個人が誹謗中傷や犯罪誘因の被害に遭ったり、法人個人事業を問わず企業が信用毀損の被害に遭うなどの権利侵害が後を絶ちません。

キャラクターや肖像、イラストや写真などの無断転載(著作権侵害)を初めとした知的財産権侵害も多数発生しています。

このようにTwitterは日本有数のSNSである反面、個人や企業に対する誹謗中傷、信用棄損や知的財産権の侵害などネガティブな投稿も後を絶ちません。

ツイッターで権利侵害の被害に遭った場合どのように対応すればいいでしょうか

ツイッター上でなりすましアカウントや、業務上の信用、名誉の毀損を伴う誹謗中傷など信用・名誉棄損、業務妨害、さらに無断転載(著作権侵害)などコンテンツ・SNS上の知的財産権侵害が生じている場合、まずは発信者を特定するための発信者情報開示請求が必要となります。

Twitter/ツイッターは、ツイート投稿時点のアクセスログを保有していないものの、アカウント開設時のアクセスログ及び、アカウントログイン時のアクセスログ(IPアドレスとタイムスタンプのみ)を保有しています。また、 メールアドレスを保有し、携帯電話認証のためのSMSアドレス(携帯電話番号)を保有している場合があります。

しかしながら、Twitter/ツイッターは、現在、任意の発信者情報開示には応じていません。そこで、アクセスログの開示を求めて発信者情報開示の仮処分を申し立てるか、メールアドレス、SMSアドレス(携帯電話番号)の開示を含めた発信者情報開示訴訟を提起することになります。

発信者は判明している場合対応は異なりますか

発信者が実名アカウントの場合など、発信者情報開示は省いて直接本人と交渉できる場合があります。ただし、単に実名アカウントと言ってもなりすましの場合などもありますので、実名が本人のものと判断できる材料がある場合に限ります。

ツイッターに対する電話番号の開示請求ができるようになったのですか?

かつて、電話番号の開示が認められていない時代、SMSアドレスの開示という形で請求を行うケースがありました。SMSアドレスは開示の可否が裁判所においても判断が分かれていました。

2019年札幌地裁判決、2019年東京地裁判決に続き、2020年6月26日に東京地方裁判所でもTwitter/ツイッターに対して、SMSアドレスの開示を認める判決が出されていました。

こうした状況を受けて、現在電話番号を開示情報に含める省令改正が令和2年8月31日に公布され、即日施行されています。この省令改正は、同日以前に行われた権利侵害でも同日以降の発信者情報開示請求には適用できると解釈する裁判例が相次いでいます。

このように、SMSアドレス乃至電話番号の開示がTwitter/ツイッターにおける発信者を特定する有効な選択肢となりえる状況になってきました。しかしながら、メールアドレスや電話番号の開示については、訴訟提起が必要になることから、状況を適切に検討して、より特定可能性の高い選択をする必要があります。

Twitter/ツイッター運営社について教えてください

ツイッター運営社は、現在米国ツイッターインクとされています。

ツイッター日本法人は、広報的なアドバイスなどを主な業務としており、ツイッターの運営権限は持っていません。このことから、日本法人に対しては、発信者情報開示や削除の権限がないこととされています。

Twitter/ツイッター米国本社(Twitter,Inc(ツイッターインク))について教えてください

Twitter/ツイッターは、米国カリフォルニア州に本拠を置くツイッターインク(Twitter inc)が運営しています。2021年現在、創業者であるジャック・ドーシー氏がCEOを務めています。

ツイッターインクはアメリカの会社のようですが、カリフォルニア法人(米国法人)に対して法的対応は可能でしょうか

Twitter/ツイッター上で生じた権利侵害に対しては、削除、発信者情報開示請求等を行うことができます。カリフォルニア法人に対する発信者情報開示と、その前提となるカリフォルニア法人の資格証明書取得方法はこちらをご参考ください。

ツイッターを含めたカリフォルニア法人に対する発信者情報開示について情報をまとめています。

Twitter/ツイッター日本法人を相手方にできないのですか?

Twitter/ツイッターは、日本にTwitter Japan 株式会社という日本法人を有しています。

しかしながら、日本法人はTwitterに投稿された情報の削除権限や、Twitterが保有する発信者情報の開示権限を有していないと説明されています。裁判所も現在、Twitter/ツイッターの日本法人である Twitter Japan 株式会社に対する削除請求や発信者情報開示請求を認めていません。そこで、 Twitter/ツイッターに対する法的請求は、カリフォルニアに登録のあるツイッターインク(米国本社)を相手に手続きを行うことになります。

平成28年9月15日東京地方裁判所民事46部判決(平成27(ワ)17928発信者情報開示請求事件)

※但強調は弊所による

原告は,被告米国ツイッター社に加え,被告ツイッタージャパンに対しても 発信者情報の開示を求めている。

そこで判断するに,証拠(乙19~21)及び弁論の全趣旨によれば,被告ツイッタージャパンはツイッターを運営する者ではなく,ツイッターの利用に ついてユーザーと契約を締結する当事者でもないと認められ,本件の関係各証 拠上,同被告がユーザーの特定に関する情報を保有していることや,発信者情 報を開示する権限を有していることはうかがわれない

これに対し,原告は,原告が被告ツイッタージャパンに対して本件写真の削 除を申し出たところ,現実にこれが削除されたことなどを理由に,被告ツイッ タージャパンも発信者情報を保有し,又は発信者情報を開示する権限を有する 旨主張する。

しかし,原告の指摘する諸事情を考慮しても,被告ツイッタージ ャパンは本件における開示関係役務提供者(プロバイダ責任制限法4条1項) である被告米国ツイッター社の補助的な立場にあると認め得るにとどまり,被 告ツイッタージャパンが開示義務を負うと認めるに足りない。

したがって,原告の被告ツイッタージャパンに対する請求はいずれも理由が ない。

Twitter/ツイッターのアカウントはユーザーネームで特定できますか?

Twitterのアカウントは、ユーザーネームというユーザーが定める英数字等の組合せで特定できます。しかし、ユーザーネームはユーザーが自由に変更できるため、アカウントの特定には不十分です。そこで、Twitterアカウントの特定には、ユーザーIDを利用する事が推奨されます。ユーザーIDは、ユーザーが決める事なくアカウント開設時に自動的に決定される数字のみで構成されるアカウント固有の番号です。

ユーザーネームとユーザーIDの違いを教えてください

例えば、弊所弁護士のTwitterアカウントのユーザーネームは、b_saitorioです。Twitter上では、@b_saitorioなどと表示されます。

これに対して、Twitterアカウント固有のIDは、274060367です。このユーザーIDは、ユーザーネームを変更しても不変であるため、アカウントの特定に便利です。

https://twitter.com/intent/user?user_id=274060367

Twitter/ツイッターは発信者を特定するための情報としてどういった情報を保有していますか?

ログイン時IPアドレス・タイムスタンプ等

Twitter/ツイッターは、投稿時(ツイート時)のIPアドレスやタイムスタンプなど通信ログを保有していません。ツイッターが保有しているのは、アカウント開設時及びログイン時のIPアドレスやタイムスタンプなどの通信ログです。

そこで、開設時やログイン時のIPアドレス、タイムスタンプが開示の対象となるかが問題となります。

ツイート(投稿)直前ログイン情報

ログイン情報は責任制限法プロバイダ責任制限法の発信者情報を定める省令の文言に直接妥当しないため、開示を認めない裁判例もありました。

しかし、裁判例は近時、ツイート(投稿)直前のログイン時のIPアドレスやタイムスタンプの開示は認める傾向にあります。

ツイート(投稿)直前ログインについて開示を肯定した裁判例(令和1年12月24日東京地方裁判所民事46部判決(平成29(ワ)33550 号損害賠償等請求事件))の判示部分

4 争点4(ツイート直前ログイン時IPアドレス等が発信者情報に該当するか)について
  ⑴ 原告は,本件アカウント1及び6につき,ツイート1及び6の直前のログイン時IPアドレス等の開示を求めるのに対し,被告は,ログイン時のIPアドレス及びタイムスタンプは,侵害情報の発信行為とは全く別個の行為であるアカウントへのログイン行為に関する情報であるから,「当該権利の侵害に係る発信者情報」(プロバイダ責任制限法4条1項柱書)に該当しないと主張する。
  ⑵ プロバイダ責任制限法4条1項が「権利の侵害に係る発信者情報」と規定し,発信者情報省令4号が「侵害情報に係るアイ・ピー・アドレス」と規定していて,開示されるべき発信者情報について,権利の侵害や侵害情報に「係る」というように,やや幅をもって規定していることからすれば,侵害情報の発信そのものから把握される発信者情報だけでなく,侵害情報の発信に関連して把握される発信者情報であれば,これを開示することも許容されると解するのが相当である。
 これを本件についてみるに,前記3⑵で述べたとおり,ツイート行為1及び6によって送信されたテキストデータ等は本件写真1及び2に係る原告の同一性保持権の侵害を発生させた侵害情報と評価することができる。そして,ツイッターに投稿(ツイート)するためには特定のアカウントにログインしなければならず,ツイート1又は6は直前における本件アカウント1又は6へのログイン行為によるログイン状態を利用してされたと認められる。これらのことからすれば,上記直前のログインに係る情報は,侵害情報の送信と密接に関連する情報であると評価できる。
 したがって,ツイート1及び6の直前のログインに係るIPアドレス及びタイムスタンプは侵害情報の発信に関連して把握される発信者情報であると認められるべきであり,原告は,被告に対し,別紙発信者情報目録第3記載の各情報の開示を請求することができる。
  ⑶ これに対し,被告は,ツイッターのシステム上,一つのアカウントに対して,複数のログイン状態が競合することは頻繁に発生しており,ツイート行為がその直前のログイン行為によるログイン状態を利用して行われたものであるかどうかは明らかではないから,ツイート行為と直前のログイン行為の関連性は明らかとはいえない旨主張する。
 しかしながら,ツイッターのシステム上,一つのアカウントに対して複数のログイン状態が競合することがあるとしても,本件アカウント1及び6につき,複数のログイン状態が競合する状態が頻繁に発生していると認めるに足りる証拠はなく,被告の指摘は,ツイート行為1及び6の直前のログイン時におけるIPアドレス及びタイムスタンプが,侵害情報の発信に関連して把握される情報であるとの上記認定を左右しない。
 したがって,被告の上記主張には理由がない。

投稿後ログイン情報

しかし、投稿後のログイン情報については、否定的な判断も多くみられます。例えば、最新ログイン情報について否定した裁判例があります。

開設時IPアドレス・タイムスタンプ

ツイッターは、アカウント開設時のIPアドレスを保有しています。

また、開設時のIPアドレスやタイムスタンプについてはあくまで事例に則した判断ではあるものの、否定した裁判例があります。

開設時IPアドレスの開示を否定した裁判例(前掲令和1年12月24日東京地方裁判所民事46部判決(平成29(ワ)33550 号損害賠償等請求事件))

プロバイダ責任制限法及び発信者情報省令の規定文言からすれば,侵害情報の発信そのものから把握される発信者情報だけでなく,侵害情報の発信に関連して把握される発信者情報であれば,これを開示することも許容されると解される一方,侵害情報の発信に関係ない情報は「権利侵害に係る発信者情報」に含まれないと解するのが相当である。

これを本件アカウント1ないし7についてみるに,本件アカウント1におい ては本件写真2に係る原告の公衆送信権を侵害するプロフィール画像設定行為 1が平成29年2月16日に行われているが,ツイッターにおいてはアカウントの開設時にプロフィール画像を必ず設定しなければならないというものでは なく,アカウント利用者が任意の時期にこれを設定・変更できることからすれ ば(甲43,44),プロフィール画像設定行為1がアカウント開設時のログ イン行為とこれによるログイン状態を利用してされたとは限らず,かえって本 件アカウント1は平成27年1月頃に開設されたと認められることからすれば (甲48),プロフィール画像設定行為1がアカウント開設時のログイン状態 を利用して行われたものでないことは明らかである。

同様に,本件アカウント5は平成25年5月頃に開設されたと認められ(甲22),プロフィール画像 設定行為3(平成29年3月8日)がアカウント開設時のログイン状態を利用 して行われたものでないことは明らかである。本件アカウント4及び6につい ても,プロフィール画像設定行為2及び4が,各アカウント開設時のログイン行為とこれによるログイン状態を利用してされたと認めるに足りる証拠はない。

本件アカウント2,3及び7においては,それぞれ本件写真2又は3に係る 原告の公衆送信権を侵害するツイート2,3及び7が行われているが,これら のツイートが各アカウント開設時のログイン行為とこれによるログイン状態を 利用してされたと認めるに足りる証拠はない。特に,本件アカウント7は,アカウントの開設時期が平成28年11月頃と認められ(甲118),ツイート 7がアカウント開設時のログイン状態を利用してされたものでないことは明らかである。

したがって,本件アカウント1ないし7の開設時のログインに係るIPアドレス及びタイムスタンプは侵害情報の発信に関連して把握される発信者情報とは認められないから,原告は,被告に対し,別紙発信者情報目録第1の2及び1の3記載の各情報の開示を請求することができない。

メールアドレス(SMSアドレスを含む)・電話番号

ツイッターは、ユーザーの氏名及び住所を保有していません。ツイッターは、メールアドレスを保有しています。さらに、SMSアドレスを保有している場合があります。

そこで、ツイッターの投稿から時間が経っている場合など、メールアドレスやSMSアドレスを開示対象とすることも検討できます。特にSMSアドレスからは携帯電話番号を推測できるケースが一般的であるため、SMSアドレスから推測できる携帯電話番号から発信者を特定できる可能性が増します。

SMSアドレスの開示の可否については、近事裁判例が複数あり、肯定例と否定例があります。

また、発信者情報開示の制度制定時にメールアドレスに期待した役割を担うものとして、現在議論されている発信者情報開示制度見直しのなかでも、電話番号を含めた法改正がされました。そこで、ツイッターが電話番号を保有している場合、電話番号の開示を求めることができます。

ツイッター/twitterの場合、接続先IPアドレスが必要になるのですか?

docomo、ソフトバンク、AUなどの携帯電話キャリアに対する発信者情報開示について接続先IPアドレスが必要となります。

ただし、ツイッターは接続先IPアドレスの記録をとっておらず保有していません。そこで、接続先IPアドレスを推測して通信を特定することになります。

接続先IPアドレスとは、侵害情報の投稿においては投稿の発信先IPアドレス、侵害情報の投稿の前後のログインについては、ログイン情報の送信先のサーバーコンピューターを示すIPアドレスです。

ツイッター/Twitterはツイート投稿時のIPアドレス等の情報及びポート番号を保有していません。したがって、ログイン時の接続元IPアドレス及び接続先IPアドレスによって通信を特定するしかないことになります。

通常、接続先のドメインからドメインネームサーバーで紐づけられ、正引きによって返されるサーバーのIPアドレスを割り当てられたコンピューターに接続するようです。

推測されるツイッターログイン時の接続IPアドレスについて教えてください

ツイッターログイン時の接続先Ipアドレスについては現在、推測するしか方法がありません。下記は、現在接続が確認されているIPアドレスを及び、これと関連付けができるIPアドレスを広範に含んだ接続先IPアドレス候補です。

ツイッターの接続先IPアドレスについては、弊所では下記ドメインとIPアドレスの紐づけを一応、証拠(疎明資料)提出も可能な状況と考えています。ただし、その評価は裁判所の判断に委ねられることになります。

また、下記はツイッターログイン時の接続先IPアドレスとなっている可能性があるものに過ぎません。ツイッターの接続先として下記に必ず接続していること、下記接続先がすべてであることを何ら保証するものではありません。

twitter.com

IP numbers
104.244.42.1
104.244.42.65
104.244.42.129
104.244.42.193

api.twitter.com

IP numbers
104.244.42.2
104.244.42.66
104.244.42.130
104.244.42.194

mobile.twitter.com

IP numbers
104.244.42.6
104.244.42.70
104.244.42.134
104.244.42.198

s.twitter.com

104.244.42.3
104.244.42.67
104.244.42.131
104.244.42.195

etc…

t.co

104.244.42.5
104.244.42.69
104.244.42.133
104.244.42.197

etc…

td.twitter.com

104.244.42.4
104.244.42.68
104.244.42.132
104.244.42.196

ツイッターに対する発信者情報開示・削除のご依頼について

弊所はTwitter/ツイッターに対する発信者情報開示請求を行った業務経験が複数ございますので、もしTwitter/ツイッター上で権利を侵害されていてお困りでしたらお気軽にお問い合わせください。

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    弁護士齋藤理央

    東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
    【経 歴】

    写真(齋藤先生)_edited.jpg

    大阪府豊中市出身

    早稲田大学教育学部卒業

    大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

    2010年    東京弁護士会登録(第63期)

    2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

    2021年    弁理士実務修習修了

    2022年    今井関口法律事務所参画

    【著 作】

    『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

    『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

    『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

    『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

    『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

    『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

    『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

    【セミナー・研修等】

    『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

    『リツイート事件最高裁判決について』

    『BL同人誌事件判決』

    『インターネットと著作権』

    『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

    『著作権と表現の自由について』

    【主な取扱分野】

    ◆著作権法・著作権訴訟

    ◆インターネット法

    ◆知的財産権法

    ◆損害賠償

    ◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

    【主な担当事件】

    『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

    『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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