弊所では、法律適用の土台となる事実認定に必要な証拠資料の収集・保全も業務として取り扱っています。委任の可否や事件の見通しを判断するうえで資料の収集が不可避となる場合など、資料の収集を先行させてより精度の高い事件の見通しを立てて依頼者のリスクを軽減することができます。また、早急に証拠保全をしたうえで、その後の交渉や訴訟を進行させるか決定したいというご要望もあろうかと思います。以下、弊所で行える証拠収集・保全の方法、手続の概要を記載しています。
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任意での証拠開示
事件の相手方や、資料を所有する第三者に対して証拠(特に文書であることが多いと考えられます。)の開示、収集を要請することが出来ます。法的根拠に基づく請求ではなく、事実上の要請に留まりますが、依頼者本人の情報などについては、同意書などがあれば任意開示に応じるケースがあります。
依頼者自身のカルテや、依頼者本人の銀行口座の取引履歴、保険の払込履歴などは、任意開示で取得できるケースも少なくありません。
弁護士会照会
所属弁護士会を通した証拠収集・保全の方法です。弁護士法23条の2に根拠規定が置かれています。すなわち、弁護士は受任している事件について、所属弁護士会に必要な事項の照会及び、照会結果の報告を求めることが出来ます。
例えば、携帯電話の契約者氏名・住所(照会を求める携帯電話会社によって対応は異なります。)、第三者の銀行口座の残高(照会を求める銀行によって対応は異なります。)などを開示できる場合があります。
職務上請求
職務上必要な場合など、戸籍や住民票の写しなどを取得することが出来ます。
職務上請求の根拠条文を教えてください
戸籍については戸籍法10条の2に、住民票については、住民基本台帳法12条の3に、根拠規定が置かれています。
住民基本台帳法第十二条の三 市町村長は、前二条の規定によるもののほか、当該市町村が備える住民基本台帳について、次に掲げる者から、住民票の写しで基礎証明事項(第七条第一号から第三号まで及び第六号から第八号までに掲げる事項をいう。以下この項及び第七項において同じ。)のみが表示されたもの又は住民票記載事項証明書で基礎証明事項に関するものが必要である旨の申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、当該申出をする者に当該住民票の写し又は住民票記載事項証明書を交付することができる。
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者
二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある者
三 前二号に掲げる者のほか、住民票の記載事項を利用する正当な理由がある者
2 市町村長は、前二条及び前項の規定によるもののほか、当該市町村が備える住民基本台帳について、特定事務受任者から、受任している事件又は事務の依頼者が同項各号に掲げる者に該当することを理由として、同項に規定する住民票の写し又は住民票記載事項証明書が必要である旨の申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、当該特定事務受任者に当該住民票の写し又は住民票記載事項証明書を交付することができる。
3 前項に規定する「特定事務受任者」とは、弁護士(弁護士法人を含む。)、司法書士(司法書士法人を含む。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。)、税理士(税理士法人を含む。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。)、弁理士(特許業務法人を含む。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)をいう。
戸籍法第十条の二第1項 前条第一項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由
三 前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由
2 前項の規定にかかわらず、国又は地方公共団体の機関は、法令の定める事務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求の任に当たる権限を有する職員は、その官職、当該事務の種類及び根拠となる法令の条項並びに戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
3 第一項の規定にかかわらず、弁護士(弁護士法人を含む。次項において同じ。)、司法書士(司法書士法人を含む。次項において同じ。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。次項において同じ。)、税理士(税理士法人を含む。次項において同じ。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。次項において同じ。)、弁理士(特許業務法人を含む。次項において同じ。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第一項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
4 第一項及び前項の規定にかかわらず、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士又は弁理士は、受任している事件について次に掲げる業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該事件の種類、その業務として代理し又は代理しようとする手続及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
一 弁護士にあつては、裁判手続又は裁判外における民事上若しくは行政上の紛争処理の手続についての代理業務(弁護士法人については弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三十条の六第一項各号に規定する代理業務を除く。)
二 司法書士にあつては、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第三条第一項第三号及び第六号から第八号までに規定する代理業務(同項第七号及び第八号に規定する相談業務並びに司法書士法人については同項第六号に規定する代理業務を除く。)
三 土地家屋調査士にあつては、土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)第三条第一項第二号に規定する審査請求の手続についての代理業務並びに同項第四号及び第七号に規定する代理業務
四 税理士にあつては、税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第二条第一項第一号に規定する不服申立て及びこれに関する主張又は陳述についての代理業務
五 社会保険労務士にあつては、社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第二条第一項第一号の三に規定する審査請求及び再審査請求並びにこれらに係る行政機関等の調査又は処分に関し当該行政機関等に対してする主張又は陳述についての代理業務並びに同項第一号の四から第一号の六までに規定する代理業務(同条第三項第一号に規定する相談業務を除く。)
六 弁理士にあつては、弁理士法(平成十二年法律第四十九号)第四条第一項に規定する特許庁における手続(不服申立てに限る。)、審査請求及び裁定に関する経済産業大臣に対する手続(裁定の取消しに限る。)についての代理業務、同条第二項第一号に規定する税関長又は財務大臣に対する手続(不服申立てに限る。)についての代理業務、同項第二号に規定する代理業務、同法第六条に規定する訴訟の手続についての代理業務並びに同法第六条の二第一項に規定する特定侵害訴訟の手続についての代理業務(特許業務法人については同法第六条に規定する訴訟の手続についての代理業務及び同法第六条の二第一項に規定する特定侵害訴訟の手続についての代理業務を除く。)
5 第一項及び第三項の規定にかかわらず、弁護士は、刑事に関する事件における弁護人としての業務、少年の保護事件若しくは心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第三条に規定する処遇事件における付添人としての業務、逃亡犯罪人引渡審査請求事件における補佐人としての業務、人身保護法(昭和二十三年法律第百九十九号)第十四条第二項の規定により裁判所が選任した代理人としての業務、人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第十三条第二項及び第三項の規定により裁判長が選任した訴訟代理人としての業務又は民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三十五条第一項に規定する特別代理人としての業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、弁護士の資格、これらの業務の別及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
6 前条第三項の規定は、前各項の請求をしようとする者について準用する。
職務上請求はどのような時に必要になりますか?
たとえば、遺産相続に必要な相続人の確定をするために戸籍謄本、除斥謄本を取得したり、訴訟の相手方の住所を特定するために住民票を請求する場合などがあります。
職務上請求を請求する場合、誰の氏名を表記して請求しますか?
戸籍謄本等の職務上請求においては、本籍、筆頭者の氏名及び請求に係る者の氏名を記載します。筆頭者の氏名とは、戸籍上筆頭者として記録されている者の氏名です。請求に係る者の氏名とは、戸籍に記載された人物のうち、調査の対象となっている人物の氏名を言います。
請求に係る者については生年月日の記載がわかる場合は、生年月日記載も要求されています。
文書送付嘱託
書証の申出は、文書の送付を嘱託して申し立てることができます(民事訴訟法226条)。裁判所から文書の所持者に文書の送付を依頼してくれますので、相手方も文書の送付に応じやすいですが、裁判所の嘱託に応じない文書の所持者も存します。
文書提出命令
文書を提出することを裁判所が文書所持者に命じます。送付嘱託とは異なり、法的なサンクションにより文書の提出が強制されることになります(民事訴訟法224条、同225条1項)。第三者に対しては過料による強制力が、訴訟当事者に対しては不利な事実を認定されるという強制力が働きます。
訴訟前の証拠収集手続
文書送付嘱託などの、本来民事訴訟が係属していなければ成し得ない証拠保全の手続を、民事訴訟提起前に行う方法です。詳しくは、こちらもご覧ください。
証拠収集・保全に関する弁護士費用
裁判上の証拠保全 | 20万円+訴訟事件における弁護報酬の10%(ただし特に複雑特殊な事情がある場合別途協議させて頂く場合があります。) |
裁判外の法律関係調査(事実関係調査を含む) | 5万円から20万円の範囲の額(ただし特に複雑特殊な事情がある場合別途協議させて頂く場合があります。) |
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