2次創作と権利者側のルール提示

本邦では2次創作が隆盛で、同人誌の即売会が大規模に開催されています。

権利者側が2次創作について黙認しているのが現状ですが、必ずしも権利者側が権利侵害について許諾しているわけではなく、ある日突然権利者が権利行使した場合、差止、損害賠償、場合によっては刑事責任を追う可能性も否定できません。

権利者に負担を追わせるのは筋違いという考え方も根強いかと思いますが、この問題で無用なトラブルを防ぐために権利者側の2次創作に対する意思表示が行われることは、とても有効な対応策の一つになり得るのではないかと思います。

2次創作OK、NG、2次創作が許容される場合は、どういうルールのもとで2次創作が許されるのか、ルールをつくって表示することは権利者サイドにしかできません。

権利者サイドには過大な負担のように思えますが、2次創作の許諾に対価を要求することも法的には認められています。

ある意味、ルールを整備して2次創作をビジネス化することも可能ということになります。

例えば、一冊頒布ごとに数百円、または一冊発行ごとに数千円など負担の少ない合理的な額で細かいルールのもとライセンスすれば、ひとつのビジネスチャンスともなり得ます。

また、2次創作者は、第一には作品のファンであるわけですから、過大な負担は難しいとしても、無理のない合理性のある負担であればそれほど否定的な態度を取らず、かえって安心して2次創作活動に取り組める可能性もあります。

 

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

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大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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