リツイート、いいね!の法的責任を巡る法務( Twitter/ツイッター上の権利侵害)

弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)は、ツイッターに対する発信者情報開示請求、特にツイッター/Twitter上の無断転載問題については最高裁判所判例をはじめとする複数の裁判例を獲得しているなど、幅広く対応実績を有します。

Twitter/ツイッター上の匿名アカウントによる誹謗中傷、なりすまし、信用棄損、業務妨害、コンテンツ侵害などの権利侵害についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。

    Contents

    ツイッター上で権利を侵害するツイートのリツイートやいいね!に関するトラブルとその対応

    これまでも、リツイートや、いいね!に対する責任追求は行われ、いくつか裁判例となっているものもあります。

    リツイートやいいね!は見逃されがちですが、深刻な権利侵害につながるものもあります。リツイートだから、いいね!だからと諦めずに法的責任を追求する余地がないか専門家に相談して確かめてみるのも一案です。弁護士齋藤理央はツイッター上のトラブルについて幅広く対応経験がありますので、法律面はもちろんTwitterの仕組みにも通じたアドバイスを提供するように心がけています。

    リツイートを巡るトラブルと法的責任

    リツイートによる名誉毀損を認めた令和 2年 6月23日大阪高裁判決・判タ 1495号127頁(令和元年(ネ)2126号)

    令和 2年 6月23日大阪高裁判決・判タ 1495号127頁(令和元年(ネ)2126号)は、リツイート行為に不法行為が成立するかの点について、『以上によれば,単純リツイートに係る投稿行為は,一般閲読者の普通の注意と読み方を基準とすれば,元ツイートに係る投稿内容に上記の元ツイート主のアカウント等の表示及びリツイート主がリツイートしたことを表す表示が加わることによって,当該投稿に係る表現の意味内容が変容したと解釈される特段の事情がある場合を除いて,元ツイートに係る投稿の表現内容をそのままの形でリツイート主のフォロワーのツイッター画面のタイムラインに表示させて閲読可能な状態に置く行為に他ならないというべきである。そうであるとすれば,元ツイートの表現の意味内容が一般閲読者の普通の注意と読み方を基準として解釈すれば他人の社会的評価を低下させるものであると判断される場合,リツイート主がその投稿によって元ツイートの表現内容を自身のアカウントのフォロワーの閲読可能な状態に置くということを認識している限り,違法性阻却事由又は責任阻却事由が認められる場合を除き,当該投稿を行った経緯,意図,目的,動機等のいかんを問わず,当該投稿について不法行為責任を負うものというべきである』と判示しています。

    リツイートによる著作者人格権侵害を認めた令和2年7月21日最高裁判所判例・ 民集第74巻4号1407頁

    リツイートによる著作者人格権侵害を認めた令和2年7月21日最高裁判所判例・ 民集第74巻4号1407頁は、『本件各リツイート者が,本件各リツイートによって,上記権利の侵害となる著作物の利用をしていなくても,本件各ウェブページを閲覧するユーザーの端末の画面上に著作物である本件各表示画像を表示したことは,著作権法19条
    1項の「著作物の公衆への・・・提示」に当たるということができる』などと述べて、リツイートによる著作者人格権侵害の成立を肯定しています。

    この事件については下記リンク先などで詳説しています。

    リツイートによる名誉毀損を認めた令和 3年11月30日東京地裁判決(令和2年(ワ)14093号)

    令和 3年11月30日東京地裁判決(令和2年(ワ)14093号)は、『被告…は,何らのコメントを付すことなく,被告…リツイートを投稿し(前提事実(3)キ),被告…リツイートの前後において,原告が…合意の下で性交渉をしたことなどを内容とする投稿をリツイートしていることも併せて考慮すれば(認定事実(2)イ及びウ),被告…リツイートで引用された本件ツイート…の内容は,被告…による,本件ツイート…の内容に賛同する旨の意思を示す表現行為としての被告…自身の発言ないし意見でもあると解するのが相当であり,被告…は,同リツイートの行為主体として,その内容について責任を負うというべきである』と判示してリツイートによる法的責任を認めました。

    リツイートの固有のID・投稿日時(タイムスタンプ)及びURLを調査する方法

    ツイッター上では、リツイートには固有のID番号(SortIndex、id_sor)が振られており、そのリツイート固有のID番号を調べることができ、さらに、ツイート固有のID番号をURLに入れて検索すると、独自のウェブページで閲覧できます。

    リツイートの固有IDの調査

    リツイート固有のID及びURLを調査する方法は下記の手順となります。なお、JSON(JavaScript Object Notation)ファイルのファイル名はツイッターを利用している環境でも異なる可能性があるためご注意ください。いずれにせよ、ツイートのソート番号などが格納されたJSONファイルは見つかるかと思います。

    まず、デスクトップ上でツイッターのタイムラインを開いて、Google ChromeのデベロッパーツールでNetWorkタブを選択し、表示されるJSONファイルを確認していきます。

    ツイッターを閲覧する通信時にかなりの数のファイルなどの通信が、サーバーとクライアントの間で行われているのが確認できます。

    該当ファイルを発見できます。弊所の利用している環境では、UserTweetsというJSONファイルが該当しました。

    このUserTweetsというJSONファイルのデータの内容をPreviewタブで開いて確認していきます。

    そうすると、元ツイートとは異なるリツイート固有のID番号を発見することができました。

    SortIndexに、リツイート固有のIDが記載されています。

    実際に調べたIDをツイートすると、リツイート固有のWebページを開くことができます。元ツイート固有のWebページ異なるURLで、リツイートを閲覧できることが確認頂けます。

    リツイート固有の投稿日時(タイムスタンプ)を調査する方法

    リツイート固有の投稿日時は、Googlechrome等のブラウザの解析機能をつかって、Jsonファイルというデータのやり取りに使われるファイルにアクセスする必要があります。ここでは私が普段使っているGooglechromeを使った解析方法をご紹介します。

    networkタブを開く

    まずGooglechromeで解析したいツイッタータイムラインなどを開いて、右クリックで検証を表示します。右に解析内容が表示されるウィンドウが開きます。

    解析内容が表示されるウィンドウには最初、ElementsというHTMLの内容などが表示されるタブが選択されているかと思います。そこで、解析画面にあるタブの中からElementsというタブから、Networkというタブに切り替えてください。

    そして、Networkタブに切り替えたら一度ブラウザで再読み込みをします。そうすると、多くのファイルがやり取りされているため、多数のファイルがNetworkタブに表示されるかと思います。

    UserTweetsを開く

    次に多数のファイルの中から、UserTweetsというタイトルのJsonファイルを探します。ここは、現状ひたすら探すしか方法を知らないのですが探していれば程なくして見つかるかと思います。

    UserTweetsをPreviewする

    件のUserTweetsファイルがみつかったら、Previewタブを開いてください。そうすると下図のような画面が表示されると思います。

    Previewを開いて内容を確認していく

    このように、順に開いて中身を確認していくことができます。

    開いたらdate→ user→result→timeline→instructions→1→entries→0→content→itemContent→tweet_result →result→legacyの順に開いていきます。

    すると、legacyの内容としてリツイート固有の投稿日時(例では2022年12月4日)と、リツイート固有のIDを確認することができます。このツイートのIDは、1599228776059088898で、元ツイートとは異なるURLで閲覧することができます。

    元ツイートのlegacyを開いてタイムスタンプID番号が異なっていることを確認

    最後に元ツイートのlegacyも確認することができますので確認しておきます。元ツイートの投稿日時(タイムスタンプ)が2022年3月8日となっており、リツイートの投稿日時と異なっていることが確認できます。

    元ツイートのlegacyはretweeted_status_resultという項目で、 リツイートのlegacyとは別に確認することができます。

    また、リツイート固有のID1599228776059088898と、元ツイートとは異なるURLで閲覧することができます。

    いいね!を巡るトラブル

    いいね!についても、執拗に嫌がらせなどに利用された場合法的トラブルに発展する可能性があります。

    いいね!による法的責任を肯定した裁判例

    令和4年3月25日東京地方裁判所判決(令和2年(ワ)20802号)は、いいね!による不法行為の成立について否定しました。しかし、控訴審判決である令和4年10月20日東京高等裁判所判決(原審左記)は、原審の判断を覆し、いいね!に名誉感情侵害による不法行為の成立を認め、原告の請求の一部である55万円について損害賠償請求を認容しました。同事案で東京高等裁判所は、いいね!に至る経緯やいいね!の態様などからいいね!に害意があったものとして名誉感情侵害の成立を認めています。単純に誹謗を一度いいね!したような事案とは異なりますので、いいね!が直ちに違法となるとは限らないことに留意が必要です。

    いいね!固有のID

    また、いいね固有のID番号(SortIndex、id_sor)も確認することができます。この番号は、いいね!をタイムライン状に表示する際に、どの順番にツイートを並べるかを決定する際などに利用されている番号のようです。

    同じデベロッパーツールで、いいねタブを開いた状態で検索します。すると、LIKEという名前のJSONファイルを発見することができました。

    こちらを開いて、値を確認すると、いいね、をしたツイートの固有IDの他に別のSortIndex値が確認できます。こちらが、いいね固有のID番号として指定されていると推測される番号になります。

    このいいね固有のIDをURLに設定しても閲覧できません。おそらく、このIDは固有のURLに対しては値を返さない設定になっており、独自のURLでは表示されない仕様になっているものと考えられます。

    上記のリンクのようにURLに設定して開くと、「このツイートは削除されました」、というおそらく返り値が空の場合自動で表示されるメッセージが常に表示されるので、そもそも、独自にURLに指定されることが想定されておらず、ツイートを格納したデータベースなどの側で、番号に対応したツイートデータを返す設定になっていないのだろうと思われます。

    ツイッター上での権利侵害は弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)にご相談ください

    ツイッターでの法的トラブルについて幅広く対応実績がある弁護士が対応します。ツイッター上での権利侵害は弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)にぜひご相談をご検討ください。

    ツイッターに対する発信者情報開示・削除のご依頼について

    弊所はTwitter/ツイッターに対する発信者情報開示請求を行った業務経験が複数ございますので、もしTwitter/ツイッター上で権利を侵害されていてお困りでしたらお気軽にお問い合わせください。

      リツイートに関連した情報発信

      リツイートに関連した情報発信の詳細については下記リンク先をご確認ください。

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      弁護士齋藤理央

      東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
      【経 歴】

      写真(齋藤先生)_edited.jpg

      大阪府豊中市出身

      早稲田大学教育学部卒業

      大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

      2010年    東京弁護士会登録(第63期)

      2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

      2021年    弁理士実務修習修了

      2022年    今井関口法律事務所参画

      【著 作】

      『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

      『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

      『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

      『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

      『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

      『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

      『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

      【セミナー・研修等】

      『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

      『リツイート事件最高裁判決について』

      『BL同人誌事件判決』

      『インターネットと著作権』

      『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

      『著作権と表現の自由について』

      【主な取扱分野】

      ◆著作権法・著作権訴訟

      ◆インターネット法

      ◆知的財産権法

      ◆損害賠償

      ◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

      【主な担当事件】

      『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

      『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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