薬機法に基づく医薬品、医薬部外品、化粧品の製造販売

知的財産権により保護される商品は、様々な行政法規の規律を受ける場合があります。たとえば、医薬品、医薬部外品、化粧品は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)により規制を受けます。


医薬品、医薬部外品、化粧品の製造販売には許可が必要です。薬機法上、製造販売とは、「その製造(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を除く。以下「製造等」という。)をし、又は輸入をした医薬品(原薬たる医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品を、それぞれ販売し、貸与し、若しくは授与し、又は医療機器プログラム(医療機器のうちプログラムであるものをいう。以下同じ。)を電気通信回線を通じて提供することをいう」と定義されています。この、医薬品、医薬部外品、化粧品の「製造販売」という概念は少し特殊ですが、生産者(製造者)から卸売業者に製品を販売する、元売りのようなポジションが、イメージとして近いと考えられます。

さらに製造販売事業者として厚生労働大臣の一般的包括的製造販売許可を得たうえで、厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品、医薬部外品、あるいは、厚生労働大臣の指定する成分を含有しない化粧品を製造販売するには、品目ごとに個別に「製造販売届書」で製造販売の届出をしなければなりません(薬機法第14条の9、同規則第70条)。薬機法は、「医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売業者は、第十四条第一項に規定する医薬品、医薬部外品及び化粧品以外の医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売をしようとするときは、あらかじめ、品目ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。」とさだめます。このように、薬機法「第十四条第一項に規定する医薬品、医薬部外品及び化粧品」以外の医薬品、医薬部外品、化粧品を製造販売するにも、製造販売許可と届け出双方が必要になります。

なお、「あらかじめ」とは、製造前ではなく、製造販売前、すなわち卸業者への出荷前と解することが、製造販売概念の趣旨に適合的と考えられます。
そして、薬機法14条1項は、「医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない」と定めます。このように薬機法は、厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品以外の医薬品、医薬部外品、あるいは、厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品を製造販売するには承認を必要として、品目ごとにクリアすべきハードルを上げています。

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

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大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

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◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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