インターネット上の匿名アカウントを特定することで今後の違法行為を可及的に予防し、責任追及を可能にするのが発信者情報開示請求の手続きです。

インターネット上の誹謗中傷被害や風評被害対策に法的措置とる場合、多くのケースで発信者情報開示請求が必要となります。

発信者特定のメリットと弁護士齋藤理央に依頼する意義

インターネット上の権利侵害は放置すると歯止めが効かなくおそれもあります。そのような状態を防止するためにも予防的に発信者を特定し、違法行為の量的、質的拡大を防止するべきケースも存在します。また、過去の権利侵害に対して責任追及をするためにも発信者の特定が必要になります。

弁護士は現在発信者情報開示請求の代理業務を行える唯一の資格です。プロバイダ責任制限法など関係法令に精通した弁護士に依頼することで、特定に失敗する確率を抑えて迅速に発信者を特定できる可能性を高めることができます。弁護士齋藤理央は、発信者情報開示分野で数例しかない最高裁判所判決を獲得しているなど、発信者情報開示分野に幅広く実績のある弁護士です。

もし、インターネット上の権利侵害でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

    発信者情報開示請求権を定めるプロバイダ責任制限法

    プロバイダ責任制限法は、インターネットで権利侵害を受けた被害者に対して、発信者情報開示請求権を認めています。

    プロバイダ責任制限法は、下記のとおり「自己の権利を侵害されたとする者は…発信者情報…の開示を請求することができる」と定めます。

    1 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対し、当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報のうち、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるものをいう。以下この項及び第十五条第二項において同じ。)以外の発信者情報については第一号及び第二号のいずれにも該当するとき、特定発信者情報については次の各号のいずれにも該当するときは、それぞれその開示を請求することができる。

    一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

    二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

    三 次のイからハまでのいずれかに該当するとき。

    イ 当該特定電気通信役務提供者が当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報を保有していないと認めるとき。

    ロ 当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報が次に掲げる発信者情報以外の発信者情報であって総務省令で定めるもののみであると認めるとき。

    (1) 当該開示の請求に係る侵害情報の発信者の氏名及び住所

    (2) 当該権利の侵害に係る他の開示関係役務提供者を特定するために用いることができる発信者情報

    ハ 当該開示の請求をする者がこの項の規定により開示を受けた発信者情報(特定発信者情報を除く。)によっては当該開示の請求に係る侵害情報の発信者を特定することができないと認めるとき。

    2 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときは、当該特定電気通信に係る侵害関連通信の用に供される電気通信設備を用いて電気通信役務を提供した者(当該特定電気通信に係る前項に規定する特定電気通信役務提供者である者を除く。以下この項において「関連電気通信役務提供者」という。)に対し、当該関連電気通信役務提供者が保有する当該侵害関連通信に係る発信者情報の開示を請求することができる。

    一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

    二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

    3 前二項に規定する「侵害関連通信」とは、侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務を利用し、又はその利用を終了するために行った当該特定電気通信役務に係る識別符号(特定電気通信役務提供者が特定電気通信役務の提供に際して当該特定電気通信役務の提供を受けることができる者を他の者と区別して識別するために用いる文字、番号、記号その他の符号をいう。)その他の符号の電気通信による送信であって、当該侵害情報の発信者を特定するために必要な範囲内であるものとして総務省令で定めるものをいう。

    令和4年10月1日施行 改正 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 第5条

    特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。

    一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

    二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

    特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 第4条1項

    このプロバイダ責任制限法が創設した発信者情報開示請求権を行使して発信者を特定していく手続が、発信者情報開示請求手続きです。

    プロバイダ責任制限法に関する詳細について

    プロバイダ責任制限法については、下記のリンク先により詳細な情報を記載しています。

    インターネット上の権利侵害者を発信者情報開示請求を用いて特定するメリット

    このように匿名で誹謗中傷やなりすまし、無断転載などを行うどこの誰かわからないインターネット上の権利侵害者を特定するための手続きが発信者情報開示請求です。

    インターネット上では、名誉権侵害・プライバシー権侵害・肖像権侵害等の人格権侵害や、著作権侵害・商標権侵害・不正競争防止法違反・信用棄損・なりすまし・業務妨害など様々な権利侵害が生じ得ます。

    このとき、権利侵害の主体である加害コンテンツの発信者を特定しなければ、法的責任を追及していけません。

    反対に、匿名アカウントで違法な発信を行う発信者は、「どうせ特定されないから責任を負うこともないだろう」と安易な気持ちで権利侵害をおこなっているケースが少なくありません。そのような場合、匿名で権利侵害を行う発信者を、どこの誰か突き止めて、法的な対応を行うことで初めて権利行使が可能になることで発信者に反省を促すことができるというメリットがあります。

    つまり、責任を負わない立場にいたはずの発信者を特定し、法的責任追及を可能にすることで発信者は状況を自覚し反省を促すことで将来的な違法行為を予防したり、これまでの違法行為について損害賠償請求を可能とするなどのメリットを得られる可能性があります。

    そこで必要になるのが、相手が匿名の場合のインターネット上の権利侵害主体たる『発信者』の『特定』のための任意、あるいは法的な手続きである発信者情報開示請求の実施です。

    発信者情報開示手続の業務の概要と実績

    弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)は、発信者情報開示請求訴訟の分野において、任意の発信者情報開示請求から、まだ数件しかない最高裁判所裁判例を獲得するなど、発信者情報開示請求訴訟に幅広く実績を有します。

    インターネット上の権利侵害について証拠の保全から発信者の特定、特定後の損害賠償請求などの法的手続きまで対応していますので、インターネット上の権利侵害にお悩みの場合、発信者情報開示請求をお考えの場合についてお気軽にご相談、お問い合わせください。

    インターネットでの情報発信の仕組みに詳しい弁護士が対応します

    弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)は、コンテンツに通じた弁護士として、コンテンツの配信システムやプラットフォームなど情報発信のバックヤードにも関心を有しており、ウェブサイトの構造や配信の仕組みにも一定の知識があります。そこでインターネット法務についても注力しています。

      発信者情報開示請求の概要を教えてください

      発信者情報開示請求は,特定電気通信による情報流通(代表的な例:インターネット)による権利侵害について,権利侵害情報の発信者を特定することに資する情報を,特定電気通信役務提供者(典型的な例:プロバイダ事業者)に対して,開示するように求める請求です。

      簡単にいえば,インターネットで誹謗中傷されたり,商標・著作物など知的財産を勝手に使われた場合に,誹謗中傷したり,知的財産を勝手に使った(情報を発信した)人間を特定するための特定に有益な情報(=発信者情報)を,プロバイダ事業者などに開示してもらう法的な権利ということになります。

      この発信者情報開示請求については、プロバイダによる自主的な協力も要請されるためガイドラインが公表されています

      発信者情報開示の手順について教えてください

      発信者情報開示は、通常、コンテンツプロバイダ→経由プロバイダという順を追って、発信者を特定することが一般的です。


      つまり、権利侵害を行う侵害情報が掲載されたコンテンツプロバイダに対して、IPアドレスや、携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号、SIMカード識別番号、電子メールアドレス、タイムスタンプなどの発信者情報開示を請求し、開示された情報を元に、コンテンツプロバイダに情報を発信した発信者の氏名、住所などを経由プロバイダに対して、開示請求することになります。

      コンテンツプロバイダに対しては仮処分を、ISPに対しては本案訴訟を提起するのが通常の流れです。

      発信者情報開示命令

      令和4年10月1日に施行された改正プロバイダ責任制限法で、発信者情報開示命令の制度が運用に移されました。発信者情報開示命令は、非訟事件手続として発信者情報の開示について裁判所の判断を仰ぐ手続きです。この手続きを活用することにより、これまで時間を要していた開示手続、特にアクセスプロバイダに対する訴訟の手間が省けることから、特定までの時間、費用を緩和すること期待できます。

      発信者情報開示とコンテンツプロバイダ等に対する仮処分手続

      SNSや掲示板などのコンテンツプロバイダ事業者が保有している発信者情報のうちIPアドレスやタイムスタンプなどのアクセスログは,機械的に記録され,一定期間経過後に機械的に記録が流れていってしまうことが殆どです。あまりに長期間のプロバイダ事業者による情報保有は,個人情報保護の観点からかえって望ましくないともされています。そこで,発信者情報開示請求を情報が残存している期間に実現するために利用されるのが,仮処分命令申立です。発信者情報の開示を本訴で請求しても,通常訴訟の終了まで最低でも6カ月程度かかります。そこで,契約者情報と結びつくアクセスログが消えてしまう前に、迅速に判断が下される仮処分命令を申し立てる必要があります。発信者情報開示の仮処分は,満足的仮処分と言われ,仮処分命令が出されて発信者情報が開示された時点で,発信者情報開示請求の目的は達成されます。反対に,本訴によらず発信者の個人情報が開示されることに問題があると指摘する見解もあります。

      発信者情報開示と併せて問題となる削除請求業務について教えてください

      弊所では、発信者情報開示に併せて削除請求について、任意手続、法的手続双方について代理業務を取扱っています。詳細については下記リンク先をご覧いただくほか、お気軽にお問い合わせください。

      弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)における著作権侵害に基づく発信者情報開示の位置付けについて教えてください

      弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)は、発信者情報開示において、著作権侵害に基づく発信者情報開示の取り扱い割合が比較的多いのが特徴です。著作権侵害に基づく発信者情報開示は、知的財産権法専門裁判所が対応するなど、取り扱いが一般的な発信者情報開示とは異なりますので、著作権侵害に基づく発信者情報開示は弊所にご相談をご検討ください。

      弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)は、コンテンツと関連が深い弁護士として著作権法務(第三者の権利侵害に対する対応)を取り扱う中で発信者情報開示請求を行ってきました。このように、弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)は著作権侵害など知的財産権侵害に基づく発信者情報開示に特徴のひとつを有する弁護士です。

      コンテンツローと発信者情報開示の関係について教えてください

      権利を侵害する情報は一種の有害なコンテンツということになります(加害コンテンツ)ので、加害コンテンツによる権利侵害というべき事案です。

      インターネット上の権利侵害は、ウェブサイトやSNSなどのコンテンツをとおして行われます。権利を侵害する情報自体が、有害であるもののコンテンツの一種ということになります。

      加害コンテンツはウェブサイトなどのプラットフォームを通して配信され、発信者情報開示もまずはコンテンツプロバイダに対して請求することが通常です。

      このように、インターネット上の権利侵害は加害コンテンツをとおして行われこの加害コンテンツはSNSなどのプラットフォームをとおして配信されます。弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)はコンテンツに関連が深い弁護士としてコンテンツが流通するいわば容器の役割を果たすウェブサイトなどについても、知見を有します。

      ご連絡・お問い合わせは下記メールフォームまで

        発信者情報開示に関する情報発信

        弁護士齋藤理央 iC法務(iC Law)の発信者情報開示に関する情報発信は下記リンク先で詳細がご確認いただけます。

        AIを巡る法律問題

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        弁護士齋藤理央

        東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
        【経 歴】

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        大阪府豊中市出身

        早稲田大学教育学部卒業

        大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

        2010年    東京弁護士会登録(第63期)

        2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

        2021年    弁理士実務修習修了

        2022年    今井関口法律事務所参画

        【著 作】

        『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

        『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

        『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

        『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

        『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

        『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

        『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

        【セミナー・研修等】

        『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

        『リツイート事件最高裁判決について』

        『BL同人誌事件判決』

        『インターネットと著作権』

        『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

        『著作権と表現の自由について』

        【主な取扱分野】

        ◆著作権法・著作権訴訟

        ◆インターネット法

        ◆知的財産権法

        ◆損害賠償

        ◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

        【主な担当事件】

        『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

        『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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