Disneyがフォックスのコンテンツ事業を買収

徐々に、コンテンツ配信のメインストリームが、映画館やレンタルDVDから、動画配信へ移行しつつあります。

この点は、近年の著作権法務のサイバー法化からも、実感することができます。

コンテンツは、デジタルの世界で直接利益を享受できる情報財であることから、制作から配信まですべてのデジタル化が特に早い産業分野の一つと考えられます。

配信のメインストリームがデジタル配信に移行することは誰の目にも明らかで、あとはいつ、その時がくるのか、或いは、すでに来ているのか、が問題とされるべきでしょう。

配信はプラットフォームを誰が支配するのか、つまり、誰のプラットフォームに人が集まるのか、の闘いであり、言うまでもなく、プラットフォームに人を集めるのは、コンテンツです。

Disneyは、自らもプラットフォームの覇権争いに参戦しました。

そこで、コンテンツの量と質が重要となり、コンテンツの争奪戦が繰り広げられる中で、巨人たちは、コンテンツをひとつひとつ買い集めるようなことはせずに、キラーコンテンツを企業ごと買収している、という流れにみえます。

エンターテイメントコンテンツ配信の覇権争いは、誰が制するのか、今後も動向から目が離せません。

ディズニーのFOX買収のもう一つの視点

ディズニーはともにHULUの支配権の30%ずつを分け合うフォックスを買収しました。

このことにより、HULUの支配権の60%はディズニーに移転することになります。

そうすると、ディズニーのフォックス買収のもうひとつの目的は、HULUを手中に収めることにあると考えられます。

特に、フォックスのもつスポーツコンテンツ網の買収に買収資金の3分の1が集中しており、ディズニーにとって、HULUは、VODで覇権を取る秘密兵器となりそうです。

しかし、2019年に開始するディズニーの動画配信事業(VOD)は、HULUだけでなく、ディズニー固有のプラットフォームを中心的な舞台とするようです。

ディズニーは、HULUをディズニー固有コンテンツの独自配信網への呼び込み口としての役割も担わせようとしているのかもしれません。

そして、ディズニー独自コンテンツ配信網を訪れた顧客には、より、効率的な課金を思案しているのかもしれません。

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

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大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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