ウェブサイトと特定商取引に関する法律

ウェブサイトと特定商取引法

特定商取引に関する法律(以下、「特商法」という。)2条2項は、
「「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは指定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう」、と定めます。

上記条文を受けて特商法施行規則2条「郵便等」については、下記の通り定めます。

特定商取引に関する法律施行規則

第二条  法第二条第二項 の主務省令で定める方法は、次の各号に掲げるものとする。
一  郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項 に規定する特定信書便事業者による同条第二項 に規定する信書便
二  電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法
三  電報
四  預金又は貯金の口座に対する払込み

上記の「電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法」には、メールやウェブフォームによる注文も含まれます。

このように、宣伝がウェブサイトで行われているからといって全てが「通信販売」に該当するものではなく、あくまで、相手方からの契約の申し込みが「郵便等」で行われるものなのか否かが「通信販売」に該当するかどうかの分かれ目になります。

例えば、ウェブサイトで宣伝していたとしても、注文を電話やメール、ウェブフォームなどで扱っておらず店頭販売等のみしている場合は、特商法上の「通信販売」には当たりません。

逆に、ポスター、テレビなど郵便等以外の媒体で宣伝をしていたとしても、その注文方法が電話注文やインターネットなど郵便等に該当する場合は、「通信販売」に該当します。したがって、郵便等以外の媒体による宣伝にも特商法上の表記事項を表記しなければなりません(特商法11条)。

通信販売に該当する場合の表記事項

通信販売に該当する場合は、広告媒体(例えばウェブサイトで広告している事業が通信販売に該当する場合は、当該ウェブサイト)に下記の事項を記載する必要があります(特商法11条)。

 特商法11条に基づく記載事項

①  商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)(同法11条1号)

なお、商品の送料を表示するときは、金額をもつて表示しなければなりません(特商法施行規則9条1号)。

②  商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法(同法11条2号)

③  商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期(同法11条3号)

 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期は期間又は期限をもつて表示しなければなりません(特商法施行規則9条2号)。

④  商品若しくは指定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(第十五条の二第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)(同法11条4号)

商品若しくは指定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(法第十五条の二第一項 ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)については、顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示しなければなりません(特商法施行規則9条3号)。
 特商法11条5号及び特商法施行規則8条に基づく記載事項

①  販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号(同規則8条1号)

②  販売業者又は役務提供事業者が法人であつて、電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合には、当該販売業者又は役務提供事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名(同規則8条2号)

③  申込みの有効期限があるときは、その期限(同規則8条3号)

④  法第十一条第一号 に定める金銭以外に購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額(同規則8条4号)

⑤  商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容(同規則8条5号)

⑥  磁気的方法又は光学的方法によりプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)を記録した物を販売する場合、又は電子計算機を使用する方法により映画、演劇、音楽、スポーツ、写真若しくは絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞させ、若しくは観覧させる役務を提供する場合、若しくはプログラムを電子計算機に備えられたファイルに記録し、若しくは記録させる役務を提供する場合には、当該商品又は役務を利用するために必要な電子計算機の仕様及び性能その他の必要な条件(同規則8条6号)

⑦  前三号に掲げるもののほか商品の販売数量の制限その他の特別の商品若しくは権利の販売条件又は役務の提供条件があるときは、その内容(同規則8条7号)

⑧  広告の表示事項の一部を表示しない場合であつて、法第十一条 ただし書の書面を請求した者に当該書面に係る金銭を負担させるときは、その額(同規則8条8号)

⑨  通信販売電子メール広告(法第十二条の三第一項第一号 の通信販売電子メール広告をいう。以下同じ。)をするときは、販売業者又は役務提供事業者の電子メールアドレス(同規則8条9号)

誇大広告の禁止

また、ウェブサイトにおける事業が通信販売に当たる場合は、「商品若しくは指定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、当該商品の性能又は当該権利若しくは当該役務の内容、当該商品若しくは当該権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(第十五条の二第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはな」りません(特商法12条)。

誇大広告が禁止されるのは次の事項になります。

①当該商品の性能(特商法12条、特商法施行規則11条1号)

②当該権利若しくは当該役務の内容(特商法12条、特商法施行規則11条2号)

③当該商品若しくは当該権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(特商法12条)

④上記に掲載した特商法11条に定められた事項(特商法施行規則11条4号、特商法11条、特商法施行規則8条)

⑤商品の種類、品質若しくは効能、役務の種類、若しくは効果又は権利の種類、若しくはその権利に係る役務の種類、内容若しくは効果(特商法施行規則11条1号)

⑥商品、権利若しくは役務、販売業者若しくは役務提供事業者又は販売業者若しくは役務提供事業者の営む事業についての国、地方公共団体、通信販売協会その他著名な法人その他の団体又は著名な個人の関与(特商法施行規則11条2号)

⑦商品の原産地若しくは製造地、商標又は製造者名(特商法施行規則11条3号)

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

写真(齋藤先生)_edited.jpg

大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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