特許法上の発明とは

特許法は,「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的と」します(特許法1条)。特許法が保護を企図する「知的財産」(知的財産基本法2条1項)は,発明という概念を媒介として国家や国民に把捉されます。 特許法上,「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをい」います(特許法2条1項)。
まず,特許法上の発明であるためには自然法則の利用が要件とされています。たとえば、自然法則それ自体である万有引力の発見は発明にあたりません。あくまで,発見された万有引力という法則を利用して,課題を解決する技術的思想でなければ特許法上の発明には該当しません。また,サッカーやトランプのルールなど,人為的なルールも自然法則には当たらないと解されます。
次に,特許法上の発明は,「技術的思想」でなければなりません。発明は,思想,すなわち無形の情報であることが示唆されています。また,その情報は技術的でなければなりません。技術とは,目的を解決するための手順,技法,手段などを指します。したがって,発明は,問題解決のための手順,技法,手段などをいうと解されます。しかし,あくまで特許法上の発明は,手段,手順の実現,実行ではなく,遂行可能な手段,手順に関する思想として把握されます。そして,思想の実現,思想を実現するための物品の生産・使用等,あるいは思想の実現の成果物の使用・譲渡等をする行為は,「実施」(特許法2条3項)として排他的に権利者に帰属し,権利者ないし権利者に許された者以外には原則的に禁止されることになります。

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

関連記事一覧

弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

写真(齋藤先生)_edited.jpg

大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

お問い合わせ

    TOP