クラウドファンディングによるコンテンツの資金調達

クラウドファンディングとは

世間一般から資金を調達するインターネット時代の新しいスキームです。

クラウドファンディングは、インターネット等をとおした不特定多数の個人からのファンディング(=資金調達)を指します。

資金を投資、出資した人への見返りがない寄付に近い形のものや、金銭的見返りを吸引力にする投資型のクラウドファンディング、グッズや特典を見返りにする購入・販売に近い形態のファンディングなど、その方法は様々です。

また、エンターテイメントコンテンツに関わらず、さまざまな分野で利用が期待される、近年注目が高まっているファンディング(=資金調達)と言えます。

映画、アニメなどエンターテイメント・コンテンツに対する資金調達は、製作委員会方式など、企業が出資する形態が主でした。しかし、近年のインターネットの急速な普及によって、不特定個人からの資金調達も、不可能とまでは言えなくなってきました。

当事務所は弁護士ですので、エンターテイメントコンテンツをクラウドファンディングで実現しようとする個人・事業主を法的な側面からサポートしていくことになります。

1 資金調達の主体・出資関係の法的スキーム

個人から資金提供を受ける母体・出資者との関係を法的にどのように構成するかの問題がまず重要です。クリエイター個人が出資を募るような場合はクリエイター個人を主体として、個々の出資者と出資に関する契約を結ぶことも考えられます。また、クリエイター個人と出資者の間で組合契約を締結したり、法人を設立して法人に財産を帰属させる方法も考えられます。法人は、株式会社や合同会社など、いくつかの種類が考えられます。その他にも、特定目的会社(資産の流動化に関する法律2条3項)、有限責任事業組合(有限責任事業組合契約に関する法律第2条、同3条)、投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律)などさまざまな法的スキームが考えられます。

2 対価としてのプレミアムの流動化

クラウドファンディングは、対価のない寄付型でない限り、金銭的見返りや、グッズ・特典など出資者にプレミアムを約束することで資金提供を可能にします。また、寄付型でもなんらかのグッズのプレゼントなどを行うことになるでしょう。プレミアムは法的には資金調達主体が、出資者に負う債務という形で捉えられ、これを証券化(セキュリタイゼーション)して流動化することなどで、流通性を生み出し、出資の促進を図ることも、検討されるべきです。たとえば、資金調達主体として株式会社を設立すれば出資は株式をとおして行われますので株券という形で自然と証券化が行われることになります。

3 コンプライアンス(法令順守)の問題

クラウドファンディングの方法によっては、資金決済に関する法律、金融商品取引法など、種々の法的な規制を受ける場合があります。場合によっては刑事罰の対象となることもあり、法的専門家関与のもと法令を順守していくことが望ましいことは言うまでもありません。

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

写真(齋藤先生)_edited.jpg

大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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