インラインリンクによる人格権侵害を含んだ案件でキュレーションメディアと和解成立

先日東京地方裁判所知的財産権法専門部係属中の案件で、インラインリンクによる人格権侵害に基づく損害賠償請求を含んだ案件でキュレーションメディアとの間に賠償額を約100万円とする和解が成立しました。

和解案に守秘義務条項が盛り込まれず、依頼者の了解も得てこの記事を公開しています。

提訴は平成30年5月で、提訴から3ヶ月のスピード和解となりました。

ユーザー投稿型のキュレーションサイトでしたが、サイトを運営する企業を相手に、ユーザーが投稿した画像をトリミングして同一性保持権侵害、氏名表示権を侵害したうえ、さらにインラインリンク設定により写真をトリミングし、白色透過したDIV要素を重ねて表示するなどした点に同一性保持権、氏名表示権侵害を主張した事案です。

アップロードが伴う事案でしたが、アップロード部分に対する利用料を超えた金額、すなわち、アップロード及びインラインリンクの設定による人格権侵害に対する慰謝料を和解額に含んだ金額で無事和解することができました。

アップロードに伴う画像利用料も、トリミング改変などを理由に、利用料の2倍から3倍の金額を請求していますが、その金額を超える人格権侵害の慰謝料部分も含んだ和解額での和解となりました。

なお、キュレーションメディアはサイトごと閉鎖となりました。

このように、キュレーションメディアでは写真やイラストをそのまま転載している例は少ないため、転載に対して運営企業に人格権侵害の責任を問う余地があります。

キュレーションメディア対象の特に運営企業を相手方にした交渉、訴訟は難しい論点も含みますので、対応が難しいと考えたら専門家までご相談もご検討ください。

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弁護士齋藤理央

東京弁護士会所属/今井関口法律事務所パートナー 弁護士
【経 歴】

写真(齋藤先生)_edited.jpg

大阪府豊中市出身

早稲田大学教育学部卒業

大阪大学法科大学院修了/最高裁判所司法研修所入所(大阪修習)

2010年    東京弁護士会登録(第63期)

2012年    西東京さいとう法律事務所(I2練馬斉藤法律事務所)開設

2021年    弁理士実務修習修了

2022年    今井関口法律事務所参画

【著 作】

『クリエイター必携ネットの権利トラブル解決の極意』(監修・秀和システム)

『マンガまるわかり著作権』(執筆・新星出版社)

『インラインリンクと著作権法上の論点』(執筆・法律実務研究35)

『コロナ下における米国プロバイダに対する発信者情報開示』(執筆・法律実務研究37)

『ファッションロー(オンデマンド生産と法的問題点)』(執筆・発明Theinvention118(6))

『スポーツ大会とスポーツウエアの法的論点』(執筆・発明Theinvention119(1))

『スポーツ大会にみるマーケティングと知的財産権保護の境界』(執筆・発明Theinvention119(2))

【セミナー・研修等】

『企業や商品等のロゴマーク、デザインと法的留意点』

『リツイート事件最高裁判決について』

『BL同人誌事件判決』

『インターネットと著作権』

『少額著作権訴訟と裁判所の選択』

『著作権と表現の自由について』

【主な取扱分野】

◆著作権法・著作権訴訟

◆インターネット法

◆知的財産権法

◆損害賠償

◆刑事弁護(知財事犯・サイバー犯罪)

【主な担当事件】

『リツイート事件』(最判令和2年7月21日等・民集74巻4号等)

『写真トリミング事件』(知財高判令和元年12月26日・金融商事判例1591号)

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